現在の幼児の健康的な間食
(栄養士科) 田末 友香、 田中 寛子、 種村 佳奈 永瀬 裕子、 西尾あゆみ、 八木 香奈 (担当教員) 北村新藏 【目的】 成長期にある幼児にとって、一日三回の食事だけでは必要量の栄養素を充分に摂取することができ難い。 間食(おやつ)は、これを補充する意味での補助食の役割をしている。また、精神機能や運動機能など心身 ともに大きく成長するこの時期において、幼児の食欲を満たすという「夢」(食育に?がる)を育み、情緒発 達においても大切なものである。そのおやつが、現在「間食=お菓子」と見做されている傾向がみられる。 そこで本研究では、おやつに関するアンケート調査を保育園を対象に実施し、「現在の幼児の健康的な間食」 についての実態を調べることを目的とした。 【方法】 大阪・京都・滋賀の保育園10 施設を対象に、間食摂取に関するアンケートを実施した。アンケートの内容は、 間食を出している頻度と時間帯、市販品と手作りの割合と種類、一人分の予算、人気の間食(おやつ)、間食を 出すにあたってのコンセプト(方針・目的)や工夫についての記入欄を設け、調査した。アンケートの回収率と 回答率は共に100%であった。また、園独自の手作りおやつ1週間程度の献立についても資料の提供をお願いし た。 【結果及び考察】 幼児にとって間食(おやつ)とは栄養摂取の面からも食事の一部と考えられ、活発な生活に休養を与え、気分 転換になるなど精神面からも必要なものである。しかし、食事の際の妨げにならないように規則正しく与えるこ とが重要である。栄養面では、良質のタンパク質、カルシウム、ビタミンに富んだ栄養バランスのよい、消化し やすい食品で、糖分や塩分を控えたものを選ぶことも大切である。 アンケート調査の結果、市販品と手作りの割合については、図のように、「比較的手作りが多い」が9施設、 「比較的市販品が多い」が1施設という結果になった。「比較的手作りが多い」が大半を占めているが、どの施 設でも市販品は使用されており、せんべいやクッキーなどが多く、無添加で一般には販売されていない保育園用 のものを使用している施設もあった。また、市販品でも手作りでも野菜や果物など栄養価の高い素材が使用され ているものが多かった。 このことから、野菜や果物など栄養価の高い素材を使用することにより、園児の栄養面についての配慮がなさ れていることがわかる。すべて手作りのおやつを与えることが望ましいが、コストなどの面を考えると難しい。 手軽に購入できる市販品に偏らず、園児の栄養面もしっかりと考え、園児が楽しめるおやつを提供することが 大切だと考えられる。また、各施設からいただいた献立を基に栄養価計算を行った。献立はグラムが示されてい るもののみ使用した。栄養価についての表をみてみると、一人分のカロリー量・タンパク質・カルシウムについ ては、大きな値を示していることがわかる。これは、幼児の摂取基準がどの栄養素も成人の体重1kg当たりの 2倍程度であると考えられる。タンパク質やカルシウムの主要な摂取源としては、代表的なものに牛乳があげら れる。このことからみても、やはり手作りの間食(おやつ)の方が栄養バランスよく考えられ、市販品ばかりを 与えるとエネルギーや脂質ばかりが上がってしまうと考えられた。 本研究を経て、今後は、栄養面と精神面の2つの面を踏まえた間食(おやつ)作りを心がけ、また同時に、食 育にも働きかけられるような栄養士を目指していきたい。
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