◇医療秘書の人間関係





医療秘書の人間関係



◎コミュニケーションの担い手
 一般的に、人間関係とは、人と人との関わり合い、すなわち、人間性だといわれています。
 コミュニケーションとは、お互いに意志の疎通を図り「相互理解」を通じ合うことです。
 医療機関における人間関係は、各専門職の集団という特殊な事情もあり、特に難しいとされています。
 医師・看護婦・パラメディカル・事務担当者というそれぞれに独立している小集団のパイプ役として、また、「医療は、医師と患者の信頼関係がなければ成り立たない」と言われるように、患者が医師を信頼して治療を受けられるようなコミュニケーションの担い手として、医療秘書がクローズアップされています。
 よきコミュニケーションの担い手になるための手段として、感じのよい話し方、聞き上手な聞き方があります。
 特に、よい聞き手であることが望まれます。
 医療秘書は、幅の広い人間性が要求されているので、まず、自分から相手に対して心を開くことです。
 具体的には、次のようなことです。

  ・相手に対して先入観を持たない。(職業や外見で人を判断しない)
  ・話し方にけじめを付ける。(内部の人と外部の人への言葉遣い)
  ・反論する場合でも、イエス・バット方式を使う。
  ・相手の立場に立って物事を考える姿勢をとる。
  ・美しい言葉遣いをする。
  ・正しい発音で歯切れよく話す。

◎医師、患者、同僚との人間関係
 職場は、どんなところでも、タテとヨコの関係があります。
  ・上司→本人→後輩というタテの関係
  ・同僚→本人→同僚というヨコの関係
  ・患者→本人→患者の家族・上司の関係者というナナメの関係

 人には、すべて360°の人間関係が存在しています。その人間関係を円滑にするためには、職場のマナーや執務態度を具体的に知っておくことがポイントとなってきます。

医療秘書と人間関係



●患者との人間関係
 @患者の心を第1番目に思いやる暖かさを持つ
 常に患者の味方でなければならない。笑顔、やさしさ、いたわり、思いやりなど、病気 で気弱な分だけ、カバーしながら接しなければならない。
 患者が安心感や信頼関係などを感じられるように振る舞わなくてはいけない。
 失敗したときには、素直に謝ることのできる柔軟な心でいたい。
 A患者のすべてに平等に接する。
 B患者の名前を一人でも多く覚える。
 C患者の性格を見て接する。
 D患者に対して命令口調はさける。

●医師との人間関係
 @医師を知ること
 ・医療秘書にとっては、医師との人間関係が決定的である。
  医師とのよい人間関係を築くには、医師の人柄を知ることから始めなければならない。
  まず、医師のパーソナリティーを理解し、長所と短所を把握し、医師にとって医療秘書がなくてはならない存在になることである。
 A医師との人間関係
  ・医師の性格を少しでも早く知り、その性格にふさわしい接し方を会得する。
  ・医師からの忠告、叱責などを自己を鍛え直す機会だと思い、心して聞く。
  ・医師から信頼される人間になる努力をたえずする。

●先輩との人間関係
 @先輩を差し置いて出しゃばったり、目立とうとしたりしない。
 A先輩には、こちらから明るく挨拶をする。
 B自分たちで何か計画しようとするときは、先輩の意見を聞くのがよい。

●同僚との人間関係
 同僚との人間関係が、何といっても一番難しい。ことに、医療秘書は、特殊な立場に立っているので、医師から信頼されるほど、他の人との協調が大切になる。
 @同僚のプライバシーを決して侵さない。
 A同僚でも、それぞれ考え方や立場が違うことを心得る。
 B競争は協力的競争をして、フェアプレーでいく。

●後輩との人間関係
 @先輩風を吹かせて威張らない。
 A自分の経験や型を押しつけない。
 B後輩が失敗したときは、暖かく慰め、手助けできる場合には手助けしてあげる。

●外部との人間関係
 @医療秘書として自分は医療機関の代表であることを忘れずに外部の人と接する。
 A好き嫌いの感情を出さず、どんな役についている人に対してもすべて公平に接する。
 B秘密を漏らさない。(守秘義務)




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