家庭における魚類摂取状況について
東 和彦 梶原 英之 西田 幸司 壬生 圭祐
高嶺 優子 溝 有由美 宮木 裕子 山口 景子
指導教官 北村 新藏
【目的】
日本は、まわりを海に囲まれた海洋国家であり、世界的にみて伝統的に海から採れる魚類を多く摂取す
る国であった。しかし、食事の欧米化や海洋資源の変化に伴い、その日本の伝統的な魚食生活が薄れつつ
ある。
現在魚料理の栄養的側面が注目されている中で本研究では、魚料理の栄養面について調べ、また主とし
て家庭料理の中で魚料理の摂取がどのような割合を占めているのかをアンケート調査でまとめてみた。
【方法】
魚料理の栄養面については、各魚料理についての書物、雑誌や文献等で青身魚、赤身魚、白身魚やその
他魚加工品について個別に調べた。
アンケートは、1週間に朝、昼、夕を通じて魚をどのくらい摂取したかをその回数で調査した。
また、魚料理の好き嫌い、好きな魚の種類(青身魚、白身魚、赤身魚、その他)や好きな魚料理(なま
物、焼き物、揚げ物、煮物、蒸し物、汁物)についても調べた。
【結果および考察】
アンケートの結果を表−1から表−4にまとめた。
表−1からわかるように、1週間の内、魚料理の摂取回数は5〜7回が一番多く、思った以上に魚料理を
摂取している割合が多いことを示している。これは、表−2からも、魚料理を「好き」が75%を示してい
ることからもうかがい知れる。また、
表−1:1週間に魚料理摂取回数
(1日3回計21回の内)
1〜3回 | 5% |
3〜5回 | 20 |
5〜7回 | 30 |
7〜9回 | 20 |
9〜11回 | 25 |
表−2:魚料理の好き嫌いについて
表−3:好きな魚野種類
背の青い魚 | 31.4% |
白身魚 | 45.5 |
赤身魚 | 13.6 |
その他(魚加工品) | 4.5 |
表−4:好きな(よく摂取する)魚料理
なま物 | 13.6% |
焼き物 | 54.5 |
揚げ物 | 0 |
煮物 | 31.9 |
蒸し物 | 0 |
汁物 | 0 |
−−アンケートは、本校学生50名(家族を含む)を対象に実施しました。−−
好きな魚の種類は白身魚が一番多く、現代人のあっさりした味を好む嗜好を反映している傾向を示している。
さらに、好きな魚料理は、比較的調理が簡単な焼き物が上位を占めていることがわかる。
そして、アンケートから1日間の内、朝昼夕に魚料理を摂取していないか、または1回のみ摂取している割
合が65%であった。
国民栄養調査の昭和50年から平成7年までの魚介類の摂取量の年次推移から昭和60年が一番低く、その
後、年を追う毎に摂取量は増加傾向を示している。
これは最近、成人病の予防効果をもつIPA等の多価不飽和脂肪酸が魚介類、特に青身魚に多く含まれてい
るという栄養学的所見が広く行き渡ってきたことによるものと思われる。
また、骨粗鬆症に小魚の骨のCaが効果的であるということからも魚離れの傾向をストップさせ、摂取の増
加へと向かわせたのであろうと考えられる。
また、魚類の購買行動と消費に関する調査報告(食品需給研究センター)によると、魚の購入回数は、週2
〜3回が最も多く、49.6%とほぼ半数を占め、次いで、ほとんど毎日が32.6%という。これは、本調
査の摂取回数5〜7回が最も多いことと合っているようである。
栄養の適正バランスと言う点で、肉食主体の欧米において栄養のアンバランスによって、肥満や高血圧、そ
の他成人病に悩まされており、日本にもその風潮はあったが、その結果、近年水産物が見直されてきた。魚を
多く食べようと言う運動はその結果である。
私たちはこのような栄養のバランスという観点からもう一度食生活を見直していくことが大切であると考え
られる。
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