森林の環境におよぼす効果について







            指導教官 北村 新藏


   私たちは 、遠い昔から森林の様々な恩恵に浴してきました。この大切な森林が、ここ最近になって少し異変が
  起こりつつあります。
   熱帯雨林の減少、商業用材としての伐採、広葉樹林から針葉樹林への変換、焼畑作や工場排煙・自動車の排気ガ
  スによる酸性雨のために、私たちを育んでくれた森林を私たち人間が痛めつけています。森林は人間の生存に必要
  な酸素の供給や土壌の栄養化や水の浄化や保持や森林浴による疲労感の回復等大切な役目をしてくれています。
   樹木から発散される物質はテルペン系のフィトンチッドと呼れる物質で、殺菌殺虫作用や循環器・呼吸器系に、
  また疲労感を和らげると言った精神安定に効果があります。
   テルペン類とは、イソプレンの2分子、またはそれ以上が重合してできたと考えられる炭素骨格を有する化合物
  の総称を言います。
   森林群落は裸地に比べて、枝葉を広げている分だけ、日射や熱をよく吸収し、気温やその影響を受ける地温につ
  いて、高低温が抑えられた較差の小さい穏やかな気象を作ります。
   COを吸収してOを放出し、COの濃度の上昇を防ぐ作用により、大気組成の維持に貢献しています。
   石油等の化石燃料の燃焼や森林、特に熱帯雨林の減少により大気中のCO2濃度が上昇し、温室効果と呼ばれる
  地球温暖化をきたしています。COは、太陽からの短波放射はよく通すが、地表からの長波放射を遮断するため、
  温暖化が進むことになります。
   地球上の森林は、光合成活動によって、大気中のCOを盛んに取り込み、有機炭素のかたちにして大量に蓄積
  している。いわば、森林は地球上の炭素の塊として貯蔵庫の役目をしています。森林の土壌保全作用として浸食崩
  壊の阻止があります。
   樹木の側根は、網状に絡み合って土壌や石をしっかりと緊縛し、直根は杭の作用をし森林の山崩れを防止してい
  ます。
   また、森林に降った雨水は土壌の団粒構造により急増水することなく、保持されます。
   森林の存在やその状態が、人間にとっての快適性amenityを生みます。
   森林の作る風景は美しい。多様な林相はそれぞれ特徴ある風景を作り、森林がそれ自体で美しいのみならず、草
  原・農地・水面・岩石構造物などと結び付き、優れた風景を描きだすのに貢献しています。人々の森林に対する好
  ましい感覚を生かしたものが「森林浴」であり、保養の場、行楽・娯楽・スポーツの場としての森林の利用です。
   そして、森林はギスギスした現代社会の中での精神の安定や情繰に役立っているのです。
   このように、森林は私たちの生活に深く関わりを持っていることがわかります。
   森林がこれからもその働きを十分に発揮できるように森林を守り、育てていくことが大切です。
   地球温暖化、熱帯雨林の過度の開発や大気汚染等地球規模の環境問題が叫ばれている昨今、人間が生活の豊かさ
  と利便さのみを追求するのではなく、地球との共生を考えていかなければなりません。
   私たちが、その森林の4つの機能である「木材生産」、「水源保持」、「国土保全」と「環境養護機能」を十分
  に理解した時、持続可能な環境として、「緑のダム」と呼ばれている森林が、その効力を我々人間の上に発揮する
  ものと思われます。


トップページへ