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はんだ山車まつり ふるさと交流ステージ
新城子供歌舞伎 
白浪五人男

ふるさと歌舞伎(地芝居)は、全国各地にあり、現地で見るのが一番ですが、遠隔地、しかも僻地と言われる所が多いので、なかなか見る機会がありません。TVで見る事はありますが、祭礼に神社境内の芝居小屋或いは仮設舞台で地元の人達によって演じられます。
最近では大都市で「ふるさと歌舞伎大会」として上演される事があります。
この地方では、明治村の「呉服座」や、岐阜県美濃地方に数ヶ所ある芝居小屋で上演されます。
名古屋では、毎年「愛知県芸術劇場大ホール」で「ふるさと歌舞伎大集合」として各地の地歌舞伎が開催されますが、観覧希望者が多く往復ハガキ申し込み抽選、しかも、当日先着座席券配布の為、早くから長蛇の列が出来唖然とする光景が発生します。
私は、平成12年12月3日、当選ハガキを持って「ふるさとの風流と歌舞伎」に開場30分前に行きましたが既に多くの行列、見る見る後ろにも1階までの通路が人で溢れました。
その時、私が見たのは「大海の放下(新城)・綾渡の夜念仏と盆踊り(足助)・歌舞伎、伽羅先代萩(御殿より床下まで)長野県東町」でした。あまりの大変さでそれからは応募していません。
そういう事で今回、半田で「新城歌舞伎」が見れる事を知り会場へ急ぎました。その前に「豊田子供歌舞伎」があったのですが見逃しました。まだ後、二時からあったのですが駅の混雑を考え帰ったので見ませんでした。
さて「白浪五人男(稲瀬川勢揃いの場)」が見事な姿で登場しました。五人男は中学生で女の子も含まれています。何といっても花形は初めに登場する弁天小僧菊之助です。

五人の衣装を紹介します。
弁天小僧菊之助(琵琶・蛇・菊をあしらう)、日本駄右衛門(磁石・碇綱・立浪の柄)、忠信利平(雲に龍の柄)、赤星十三郎(星に鳳凰の柄)、南郷力丸(稲妻と龍の柄)。
紫縮緬の着付に白の博多献上の帯を結び、黒繻子襟の赤縮緬襦袢、鮫鞘の刀を一本差し「志ら浪」と回し書きした傘を差しています。

幕開きは、浅葱幕前で捕り手が「迷子の迷子の三太郎やーい」と現れます。
浪音の太鼓が鳴って浅葱幕が片付けられます。劇場では切って落とします。
下座音楽と共に桜満開の稲瀬川土手に弁天小僧が姿を見せ見栄を切ります。ツケの柝の音がバタバタと雰囲気を盛り上げます。四人登場の後に日本駄右衛門が登場します。劇場では花道に並びますが、今回は舞台下手からの登場でした。一言づつの連ね台詞の後、本舞台に日本駄右衛門が上手に回った所で、土手に「黒四天」の捕り手が現れます。今回は五・六才の子達が出て来ました。
名を名乗れと問い掛けられ、七五調の美文の名調子で五人が、それぞれ名乗り見栄を切ります。
「問われて名乗るもおこがましいが・・」に始まる台詞です。後文に書きます。
聞いていていい気分になれる所です。

名乗りの後、駄右(五つ連れ立つ雁金の、五人男にかたどりて)弁天(衆に相違の顔触れは、誰白浪の五人連)忠信(その名もとどろく雷鳴の、音に響きし我々は)十三(千人あまりのその中で、極印うった頭分)南郷(太えか布袋か盗人の、腹は大きな胆っ玉)駄右(ならば手柄に)五人で(からめてみろ)と連ねます。
立ち回りになり、捕り手を踏みつけて傘を開き、ツケに乗って見栄を切り、決まった所で柝がチョーンと入ってチョンチョンチョンチョンチョンと幕になります。

歌舞伎は、形と姿、構えが重要ですが見事に決まっていました。顔、衣装も綺麗でした。
下座音楽は登場人物によって、それぞれですが今回は録音です。台詞は生のようだと思います。
新城には他にも八つ座が有るという事ですが遠くて行けないのは残念です。
11月18日現地で公演があります。お出掛け下さい。

余談になりますが、私の知っている、アマチュアミュージカル劇団は音響機器や会場の関係でアテレコですが、完全に稽古でマスターしているので本番でも声を出していますが見事にマッチしてアテレコとは思えない完璧さです。猛練習が有っての事です。


迷子探しと称して取手が登場  颯爽と弁天小僧 登場 日本駄右衛門 登場
やはり花形は弁天小僧 問われて名乗るもおこがましいが・・。 さてその次は江ノ島の・・。
南郷力丸・赤星十三郎 さてどんじりに控えしは・・。 上段に日本駄右衛門で大見栄


日本駄右衛門

問われて名乗るもおこがましいが、生まれは遠州浜松在、十四の年から親に放れ、身の生業(ないわい)も白浪の沖を越えたる夜働き、盗みはすれど非道はせず、人に情けを掛川から金谷をかけて宿々で、義賊と噂高札に廻る配附の盥越し、あぶねえその身の境涯も最早四十に人間の定めはわずか五十年、六十余州に隠れのねえ賊徒の張本日本駄右衛門

弁天小僧

さてその次は江の島の岩本院の稚児上がり、平生(ふだん)着馴れし振袖から髷も島田に由比ヶ浜、打ち込む浪にしっぽりと女に化けた美人局、油断のならぬ小娘も小袋坂に身の破れ、悪い浮名も竜の口、土の牢へも二度三度、だんだん越ゆる鳥居数、八幡様の氏子にて鎌倉無宿と肩書も島に育ってその名さえ、弁天小僧菊之助

忠信利平

続いてあとに控えしは月の武蔵の江戸育ち、幼児(がき)の時から手癖が悪く、抜け参りからぐれ出して旅を稼ぎに西国を廻って首尾も吉野山、まぶな仕事も大 峰に足を留めたる奈良の京、碁打ちと言って寺々や豪家へ入り込み盗んだる金が御嶽の罪科は、蹴の塔の二重三重、重なる悪事に高飛びなし、後を隠せし判官の御名前がたりの忠信利平

赤星十三郎

またその次に列なるは、以前は武家の中小姓、城主のために切り取りも、鈍き刃の腰越や砥上ヶ原に身の錆びを研ぎ直しても抜き兼ねる、盗み心の深みどり、柳の都谷七郷花水橋の切り取りから、今牛若と名も高く、忍ぶ姿も人の目に月影ヶ谷神輿が嶽、今日ぞ命の明け方に消ゆる間近き星月夜、その名も赤星十三郎

南郷力丸

さてどんじりに控えしは、汐風荒き小ゆるぎの磯馴の松の曲がりなり、人となったる浜育ち、仁義の道も白河の夜舟へ乗っ込む舟盗人、波にきらめく稲妻の白刃でおどす人殺し、背負って立たれぬ罪科は、その身に重き虎ヶ石、悪事千里と言うからはどうで終いは木の空と覚悟はかねて鴫立沢。しかし、哀れは身に知らぬ念仏嫌えの南郷力丸


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