この度の「四代目尾上松緑襲名」は、今年の五月六月の歌舞伎座を皮切りに始まり、今月は名古屋御園座で幹部俳優多数の共演で公演中です。
御園座の襲名演目は「寿曾我対面」「土蜘」、夜の部で「口上」が行われます。
尾上菊五郎が父親代わりの後見役として襲名興行を取り仕切り、雀右衛門が口上の案内を務めています。
TV中継での東京歌舞伎座興行は、舞台間口が広く、襲名松緑を始め、ずらりと居並ぶ十五人の幹部俳優が祝儀の祝い挨拶口上を連ねました。
大看板役者の、それぞれの挨拶は大向こうの声と共に爽快で心地よい眺めです。
納めに「四代目」の歯切れの良い口上があり祝儀幕が引かれました。
歌舞伎座の襲名口上役者は次の通りです。
雀右衛門、菊五郎、団十郎、雁治郎、芝かん、田之助、吉右衛門、玉三郎、魁春、芝雀、新之助、菊之助、友右衛門、団蔵、松助という、ベテラン、中堅、若手の思わず首筋がゾッとする絢爛豪華メンバー。
生舞台は撮影禁止ですから自分だけの楽しみになりますが、TV中継は何度も見返す事が出来て有り難い事です。
中継では、続いて二代目松緑が昭和二十八年明治座初演、三代目も好演(TV拝見)した、お家芸「蘭平物狂」ですが、現三津五郎も演じています。一部の隙も許されない体力と気力、演技力が必要な一時間半の演目です。
後半の四十五分は総て「大立ち回り」という凄まじいお芝居です。
若手の襲名は、とかく未熟さが目に付くものですが、今回の松緑には、それが感じられません。
辰之助襲名の時は、まだ変声期で声が割れて、まだチョッとと思いましたが今では声も安定し、さすが所作は殆ど欠点が見られません。すべて見事に決まっています。目も大きいし表情も豊かで不満は感じません。
他の演目は、まだ見ていないので分かりませんが、歌舞伎座襲名興行では「勧進帳(弁慶)」「船弁慶(平知盛、静御前)」「吉野山(忠信)」など、お家芸の荒事が多い多くの演目をやりこなしました。大変な事です。
しかし、今の若さで、かなりの実力が付いている様子から見て、新之助(間もなく海老蔵)菊之助と共に楽しみな将来です。
プロフィールについては「藤盛会」HPに紹介されていますので、そちらをご覧下さい。。
|