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 豊橋市公会堂と 「二本の桜」
 NHKTVドラマ「二本の桜」 演出 伊豫田静弘  脚本 冨川元文
伊豫田静弘 名作「ながらえば」山田太一脚本では笠智衆、宇野重吉の名優の共演で老人の哀愁を見事に描いた
 冨川元文 一宮出身。桜紀行で故郷の佐藤桜の存在を知り構想を暖め荘川桜エピソードを兄弟のモチーフに描いた
音楽 羽田健太郎       造園指導 丹羽計仁 
三時間の長編なので少しずつ書きますから、ゆっくり読んで下さい。
          長門裕之(兄、高柳清志)、江守徹(弟、高柳剛志)、香山美子(剛志妻、多美子)、息子、娘、
             伊藤友乃(佳子)、天野有恒(多美子父、(かって北陸東海、桜紀行のナレーション))他

                         ストーリー

                                    前編「樹は黙したまま」
                   エピローグ 大樹に向いて わが人生を問う 樹は黙したまま 梢を鳴らすばかり

                                 ドラマは名古屋千種駅前で清志と剛志が会うシーンから始まります。

剛志は、兄、清志に会うため、千種駅へ行きます。清志に頼まれたお金を渡すためです。清志は定職が無く日雇い仕事などをしている様子で時々 剛志に無心をする事があり剛志の家族は不満を持ってます。
剛志は銀行の今池支店長の地位のエリートサラリーマンで、息子は名大卒業後、尊敬する父を見習い銀行に就職が決まり研修の日を送っています。 娘は、知人の紹介で結婚が決まり、近く結婚式を迎えます。妻、多美子は美大卒の専業主婦ですが、名古屋市鶴舞中央図書館でボランテイア で点字翻訳や子供のための絵本作りなどをしている安定した一家です。

千種駅がトップシーンに出てくるのは、作者、冨川さんの伏線が感じられます。
これはNHKの「桜紀行ー名金線、もうひとつの旅」をご覧に
なった方はピンと来るかもしれません。
実は、ここには、かっての国鉄バス名古屋営業所があったのです。
佐藤良二さんが名金線の車掌としてこの地点と金沢を往来していました。ここに「太平洋と日本海を結ぶ桜」第1号が植えられました。 番組のトップに登場するのが、この桜です。
バス営業所は駅前整備の為、現在の中川区荒子に移転しました。第1号桜は、JRバス名古屋営業所前に
移植されましたが、土壌が合わなかったのでしょう。根付きませんでした。
その後、佐藤良二さんの遺志を継ぐ為、良二さんの、姉、尾藤てるさんが、故郷白鳥町から良二さん手植えの桜を持参。
多くの関係者が集い、
記念の掲示板設置と共に記念植樹をされ、毎年、花を咲かせています。
この地点をスタートに、毎年「さくら道ウルトラマラソン270K48時間」が約250人のランナーとボランテイアで開催されています。
こういう伏線が千種には有るのです。

剛志は、本店への栄転を前に、銀行を辞め造園業を清志と始めると家族に告げます。
家族は唖然。殊に、娘は結婚式を目前に剛志の立場をどう親族に紹介したら良いのかと激しく剛志を責めます。
妻、多美子も、何故、定年後ではいけないのか反発します。息子も父を目標に目指して来た信念が揺らぎます。
剛志は、毎日の通勤電車から何時も眺めていた桜が、道路拡張の為、失われる事を憂い、桜の前に立ちます。
剛志は家族を誘い、かって幼時、暮らした荘川を訪ねようとします。一緒に行くと言う息子だけを伴い、荘川桜に、高山線経由、高山からはタクシーで会いに行きます。
旅すがら、剛志は、息子に、自分と兄が名古屋空襲で両親を失い、荘川の親類に預けられ、荘川桜に登ったりして遊んだ事、間もなく、兄が豊橋の植木職人の家に働きに出たのを哀しく見送った事。その荘川が、ダム工事で水没。
その時、荘川桜の移植に植木職人の一人として参加した事。その木が見事に花を付けた事を話します。
息子は、その伯父(清志)の為に造園業を始めるのかと尋ねます。剛志は、優秀な職人であった清志が、剛志の大学進学の為に植木職人を辞め、収入の多い仕事に替わってしまった事を話します。
花は終っていましたが、水を満々と湛えたダム湖に映える、緑溢れる荘川桜を見て息子は大きな感動を覚えます。娘の結婚式、剛志は挨拶で銀行を退職し造園業を始めた事を公表し家族は気まずい雰囲気になります。結婚式場のロビーで多美子は芸大の学友(男性)と再会します。
剛志は清志と造園業を始めます。
まず、通勤途中で毎日眺めていて、道路工事のため切られる運命の、移植しても定着しないだろうと言われていた桜の木を譲り受け、会社の敷地に移植します。
仕事の手始めは、銀行時代の得意先の建売住宅の庭園整備の仕事です。
二ヶ月過ぎましたが多美子は手伝おうとはしません。鶴舞図書館のボランテイアとして、点字翻訳とか、子供の手作り絵本の製作などをしています。
息子には銀行から採用通知が来ました。
剛志は、勤めていた銀行へ事業開拓の相談に出掛けます。車で送ってくれる多美子。途中交通渋滞に遭います。
幹線道路の中央に立つ大木を避けて、道路が迂回するのを見て「木の力は凄いと思わないか」と話しかけます。
今池にある、かって支店長をした銀行で、後任の支店長は仕事の上での特別待遇は出来ないと圧力を掛けます。
注文を受けていた銀行関連の仕事が次々キャンセルされるようになりました。
剛志はかって懇意にしていた林業会社のオーナーに公園などの公共工事の受注が出来るよう依頼します。
支店長時代の女子行員が、仕事を手伝いたいと銀行をやめて、やってきます。
林業会社のオーナーが、自分の豪邸の庭に、知人の女性の希望だと「白樺」を植えて欲しいと言って来ました。
清志は「この土地に白樺は育つ訳が無い。みすみす枯れると判っているものを植える事は出来ない」と激昂します。
「枯れても構わないから植えて」という女性の言葉に剛志は「将来の仕事の為、植えよう」と言います。
清志は「お前には木の心が何もわかっていない」と激しい口論になります。
多美子は、再会した芸大の友人から「仕事を手伝ってくれないか」と誘われ心が揺れます。
清志は「白樺に代わる立派な木を探してくる」と、お金を持って何処とも無く出かけて行き暫く姿を消してしまいます。
剛志は清志が暮らしている居酒屋の佳子と競輪場や知り合いを訪ね歩きます。
数日後、清志が素晴らしい「まゆみ」の木を見付けたと自慢気に現れます。
「まゆみ」は、林業オーナーの庭に植えられますが一緒に帰宅した女性は「こんな木は頼まない。抜いて下さい。抜くのが面倒なら切ってもいい」と言い張ります。さすがに剛志も激昂し反論します。
清志は「抜こう。こんな所に居たくないと木が言っている」と夕暮れの中、泣きながらスコップで掘り始めます。
次の日から、剛志は、黙々と個人住宅を訪ね歩き、注文取りを始め公共工事の事は口にしなくなります。
この頃から、清志の様子がおかしくなります。木から落ちたり、ボンヤリしているようになります。
アルツハイマーの症状が現れたのです。
開業五ヶ月。息子は自分が銀行を選んだ信念が揺らぎ不安定な気持ちになります。(前編おわり)

「桜賛歌 淡墨桜」 岐阜県谷汲村の名木の紹介

   後編「少年は鷲に乗って」が豊橋を舞台にするのは荘川桜の移植を手懸けたのが豊橋の造園業者であったという伏線があります。
                          荘川桜 昭和35年御母衣(みぼろ)ダムの建設で湖底に沈む村から移された二本の桜
                            樹齢500年余の桜の移植は至難とされたが奇跡的に根付く
            水没を惜しむ人々の情熱に支えられた二本の巨桜 山深い湖岸で兄弟のように寄り添い毎年若々しい花をさかせている
平成三年文化庁芸術作品賞
NHKTVドラマ「二本の桜」で登場した
豊橋市公会堂

長門裕之と江守徹が兄弟役で出演。
香山美子や名古屋の俳優が出演。
名古屋を舞台に豊橋、荘川桜を舞台にストーリーが展開しました。
後編「少年は鷲に乗って」はこの場所をモチーフに この鷲に乗ったら荘川桜へ行けるのではと・・・
財布に入ったバッグを無くし、奥さんの到着を待つ 屋上テラス。少年時代の思い出を語り合う 仕事上の意見がぶつかり喧嘩になる。
奥さん(香山美子)
 国指定文化財 豊橋市公会堂 (愛知の建築) 
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