「豊橋市公会堂」については「愛知の建築(豊橋)」にリンクさせて頂いていますのでご覧下さい。
平成四年度芸術祭作品賞受賞のNHKTVドラマ「二本の桜」については既に、当HPで紹介させて頂いています。
今回、初めて訪ねました。名古屋からは、国道1号では豊川大橋を渡ると八町交差点を左折、すぐに洒落た歩道橋があり、その左側です。豊橋駅からは案内板で参照、歩いて15分位です。
第一印象は「新しい、綺麗」です。少しイメージが違いました。
国登録文化財に指定され、平成十三年までに外観整備されました。ドラマでの印象はかなり煤けて黒ずみ古風な感じでした。
周囲を一周してから、開いていた一階戸口から入りました。掃除のおばさんが居たので「中を見せて貰っていいですか」と聞きました。ホールでは何かの集会があり、ザワザワしていました。居た人に「見学出来ますか」と聞いた所、事務所の人に伝えてくれて、職員の方が「どうぞ」と鍵を携えて案内して下さいました。一階はトイレや備品室、事務所などです。
二階は大階段を上がった所で、ロビー、ホールになっています。大階段を上がった所の鉄扉柵は戦時中の供出で返らず再製されました。木製の窓枠などは、創期そのままで塗装されました。階段や柱も創期のままで、タイルなどもそうです。漆喰の装飾は内外部共に見事な仕上がりです。柱の細かい砕石の磨き出しは今では少ない貴重な仕事だという事でした。
三階は貴賓室、控えの間、映写室、機械室があります。三階から螺旋階段が屋上に続きます。大理石の手すりがカタツムリのように回って行きます。ステンドグラスの窓が明かりを取ります。外から見えるドームの部分が階段で建物の両側に有ります。
屋上への扉を開けて頂き屋上へ出ます。そこに鷲の装飾がドームの四方にあり天空に飛び立とうとしています。八羽います。現在のものは新しく作られたようで、昭和六年創期の物は二羽が地上にモニュメントとして展示されています。他の六羽は博物館にでも保存してあるのでしょう。
ドラマでは、長門浩之が「豊橋で庭師修行中に、ここから故郷の荘川が見えるかなぁと、よく来たもんだ」と江守徹に語りかけます。
ドラマでは丹羽計仁さん造園指導となっていますが「丹羽造園」の方で、荘川桜移植の難事を成功された事は「プロジェクトX・桜ロード大作戦」でも紹介されました。長門浩之はその作業をした移植職人としてドラマに登場しました。
屋上まで、わざわざ案内頂きました職員の方には厚くお礼申し上げます。
なお、「二本の桜」の、情緒溢れる音楽を作曲されました、羽田健太郎さんが五十八才の若さで逝去されました。そのテーマメロデイは脳裏にいつも蘇ります。
日曜日の「題名のない音楽会」は、宮川泰さんの子息、彬良さんが継がれるようですが「ハネケンさん」の名声は永遠に語り継がれる事でしょう。
H19.6.19
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