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霞幕

「霞幕」というのは、山車の最上段に乗る「からくり人形」が動いていない時、つまり、山車が静止休息している時、直射日光などから保護する為、四方に暖簾状に掛けられる紗幕です。大体は紋や山車の名前が描かれています。
普通、祭見物する一般の人は、山車の活動中を見ますから、あまり見られないと思います。
私も犬山などで山車名を描いた幕は見ていました。
「広井神明祭」は活動中や夜間は見ていましたが「霞幕」は見ていませんでした。
今回、「名古屋まつり」山車総揃えの、三之丸での待機中に霞幕が掛けられました。他の山車は、それぞれ紋の付いた幕などを掛けましたが「二福神車」と「唐子車」が白っぽい薄汚れたような幕「失礼・これから説明します」を掛けられました。遠目で見ると、みすぼらしく見えました。
「唐子車」の傍へ寄って見て驚きました。水墨で描かれた画と歌があります。
画は葦原から雁が飛び立つ様子を描いています。それだけでも驚きで、早速「唐子車」内屋敷町の方にお尋ねしました。
「へーっ、そんなに珍しいものですか」と傍の方にも話されましたら、調査の時にそういう話があり写真に保存されたそうです。
再び、よく見直すと四方のそれぞれの幕に当時の名優の、画、署名落款が見えます。
三世寿海・こうもり。勘三郎・茄子。三津五郎・葡萄。七代梅幸・梅枝花。
写真をご紹介ますのでご覧下さい。読めない字もありますので教えて下さい。
「二福神車」には、宝船・波千鳥・が描かれ、修・落款とあります。由来を尋ねたところ名古屋友禅作家の方に書いて頂いたとの事です。

昭和三十三年当時は、上記の名優の方の他にも多くの名優方が居られました。
二世尾上松緑、中村雁治郎、市川猿之助、実川延若など綺羅星のごとくでした。先代団十郎さんはまだ海老蔵だったかもしれません。
その頃でしたが、私も歌舞伎が見たくて私は学生でなかったので友人の学生証を借りて学割で、御園座で昼夜見た事があります。その時は確か「市村羽左衛門襲名興行」だったと思います。
海老蔵は「若き日の信長」、松緑「供奴」、福助(現芝翫)「金閣寺」でした。寿海・左団次(先代)も出演だったと思います。
歌舞伎界は、戦後大きく衰退し存亡の危機の時期がありました。多くの役者が映画出演をしました。
幸四郎・松緑(花の生涯)・扇雀(現藤十郎)佐々木小次郎。鶴之助(現富十郎)若様侍。友右衛門(現雀右衛門)佐々木小次郎、等々。
寿海の養子であった、雷蔵。中村錦之助、東千代之介などは遂に歌舞伎には復帰しませんでした。
その変遷を乗り越え「人間国宝」として立派に次世代に継承された功績は計り知れません。

上記、霞幕は誠に貴重なものです。何れも故人になられ二度とは得られないものです。
「色紙」や「隈取り」などは数多くあるでしょうが、山車の霞幕というのは、唯一何処にも無いでしょう。
入手由来を確証の上、多くの皆様に、ご披露下さるよう願ってやみません。

その後、伺った話では内屋敷町(現在は名駅南)で料理旅館を経営し、名古屋場所相撲茶屋も運営しておられた方が芝居にも贔屓をされ、御園座出演の歌舞伎役者さんに山車の霞幕新調の折に頼んで書いて貰ったのではないかという事ですが、その事を町内には知る人は居ないという事でした。
もし保存が難しくなったら「御園座」に話されるよう、お話させて頂きました。

霞幕再見 19.10.14 
昨年、初めて「内屋敷唐子車」の霞幕が昭和三十三年、当時の歌舞伎の名優によって描かれいるのを知り、今年の「名古屋まつり」の山車揃えの機会に、より詳細な画像を撮る事にしました。
前日の天気予報は、その日は雨がシトシト降るという事で、これは難しいかなと思いましたが、夜が明けて、曇り勝ちながら青空も見え大丈夫という事で早速出掛けました。
柳橋の三輌の山車は長者町筋を北進中。恒例の那古野神社参拝、唐子車の「からくり奉納」の後、本町筋から名古屋城三之丸へ入場。若宮・筒井・出来町の六輌と共に整列しました。
この待機の時、霞幕が上段に掛けられます。尋ねて見ると唐子車が霞幕掛けるのはこの時だけという事でした。
山車揃え為に、十時十五分から山車の市役所前への移動が始まりますから、霞幕が掛けられるのは三十分位の間だけです。ですから今まで見る機会は無かったのです。
今年改めてジックリ拝見した所、前回とは違った発見がありました。
追加は、仁左衛門の「兎」です。「鍾輝」は延若でした。お二人は関西歌舞伎の方です。
三津五郎は「葡萄」です。「兎」「葡萄」は薄れていて前回は見逃しました。それと、松本幸四郎は「枝に柿あるいは柘榴」です。
「葦・雁と歌一句」は署名がありますが私には読めません。教えて頂きたいと思います。
昭和三十三年十月吉日(1958)とありますので四十九年前のものです。
私は非常に珍しい貴重なものだと思いますが如何でしょうか。

歌舞伎役者が書画を描いた霞幕 各車の霞幕 名古屋城三之丸集結の九輌の山車
葦に雁  歌一首  読める方教えてください 書・画共に見事です
柿でしょうか 僅かに緑が見えます
署名落款です 昭和三十三年十月歌舞伎興行の時の作です 三代尾上梅幸  梅の枝・花
五人の寄せ書き 実川延若  鐘輝 三世 市川壽海 蝙蝠
中村勘三郎  茄子 坂東三津五郎  葡萄 片岡仁左衛門  兎
二福神車 前幕  名古屋友禅作家の作 横幕  修の署名落款

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