特集 日教組教研(2.10~12)参加報告

「教員評価制度」の現状を知り、交流を図るために

2月10日から3日間、大分市、別府市を会場とした第56次日教組教研に参加してきました。

今回教研に参加した目的は主に二つあります。一つは、各都道府県の「教員評価制度」の実情を聞くこと。今ひとつは「新勤評訴訟」の紹介を持って各教組と交流をはかろうというものです。結果から言うと大変有意義なものでした。

教員評価制度導入で破壊されつつある現場・教組

今次教研で「教員評価」がレポートとして出されていたのは「第22次分科会」すなわち「地域における教育改革とPTA」のみであったように思います。三日間にわたるこの分科会の様子を概括的に報告します。

レポートの内容に「教員評価制度」が含まれていたのは、石川県(高)の「職場の団結を基礎に――新たな人事考課制度に反対し、私たちはどう立ち向かうか――」。石川県教育委員会は今年度から「新たな人事考課制度」を導入しました。管理職は数値目標の設定を各職場に強いています。レポーターは「一人ひとりの組合員がバラバラにされ、分会という組織の基盤が壊され、組合そのものが壊されること」に大変な危機感を表明しました。ちなみに石川の組織率は80%。北海道とあわせて日教組つぶしのターゲットに明らかにされています。

次に、山口県の「教員評価制度撤回をめざす山口県のたたかい」。山口では、学力テスト、教職員評価制度が同時期に下ろされました。山口の組織率は、反日教組の第2組合が多数を占めていることもあり、わずか2%。しかし、山口は岩國の米軍基地に反対する市民運動とも結合して随分元気な様子に見えました。

さらに熊本県の「熊本県の職場における課題について」。「本年度から、『学習指導』、『児童生徒指導』、『校務分掌他』に亘って、教職員の自己評価制度が導入されました。『学習指導』においては、『自己目標の設定・達成度評価』を、『現状』、『目標』、『具体的な手だて』、『自己評価』の4項目で行うことが求められています。目標の設定には数値目標を掲げるよう求められ、『自己評価』は、その達成状況を5段階評価と記述評価で行い、いずれの場面でも管理職面談が設定されています。早晩、奨励、待遇などの人事評価に利用されるのは必至で、物言わぬ職員の増加が懸念されます。」

その他三日間通じて「教員評価制度」に言及したのは、福岡、沖縄、岩手、東京でした。

教員評価制度に対する各教組のスタンスの違い

教員評価制度をめぐっては、各教組による制度への姿勢に確かに違いがあります。北海道教組のように導入そのものに反対というスタンスを取る所、石川、山口、沖縄等はこれに近いでしょう。一方、大阪、兵庫、神奈川の「中でなしくずしにする」路線。共同研究者はこれを、それぞれ「創意工夫のある闘い」とまとめています。

分科会全体としては、東京で体育祭の日の丸を注視しなかっただけで処分を受けた多摩教組の方の「おかしいことはおかしいと言い続けること」という雰囲気や、北海道教組の「古典的」ともいえる原則的な組合活動の話が、終始リードしていたように思えました。

さて、こちら事務局の方ですが、石川、東京、熊本、沖縄、山口、北海道それぞれの方に挨拶し、事務局の一人が作ってくれた「裁判資料集」をお渡ししておきました。それぞれ帰った所で紹介することを約束してもらいました。私は熊本の方がぼそっと言われた「最後は裁判やな」という言葉が印象に残っています。