11月9日、訴訟団は大阪弁護士会館内で提訴後記者会見を行いました。会見場は原告、支える会会員等訴訟団、マスコミ陣で埋め尽くされました。
冒頭、事務局長より、大阪府教委が教員に強制している、いわゆる「評価・育成システム」の自己申告票を提出していない29名の教員が、本日大阪府教委を相手取つて訴訟を提起したことがまず報告されました。訴訟に至った経緯、原因、すなわち、校長が決定する評価結果が07年度より給与反映され、ことに自己申告票不提出者にはD評価という懲罰的な結果と昇級停止がもたらされること、さらにこのシステム自身が教員の同僚性、共同性を破壊する不法、不当なものであるがゆえに訴訟に至ったことが述べられました。
次いで原告団団長には、多くの人々に支えられて訴訟に至ったことの感謝の言葉があり、学校現場、すべての子どもたちに光をあて、自由や責任ある学校とするために訴訟を進める決意が述べられました。さらに2人の原告団副団長はそれぞれ、給与反映されることで教員がバラバラになっていくこと、教員。保護者。地域が支え合う中でやつていく学校の姿が破壊されてしまうこと、またシステム自体が教育の主体性。能動性を奪うものであり、システムそのものを教基法。憲法に問い直したいという問題提起・決意を語りました。
次いで主任弁護士より訴状の解説が行われました。まず訴状の中身は、評価システムの自己申告票を提出する義務はないこと、昇級がないのはダメというものであることが紹介されました。さらに教員の権利はすべての子どもたちの教育を受ける権利が保証されていることで成り立っているものであるのに、このシステムは目標とされている子どもの教育のみに焦点を置き、他の子どもたちを切り捨てるものであることが指摘されました。すなわち、主張された「大きな問題」は、差別的賃金の導入により公教育が差別的なものとなる、普遍的な教育が破壊されるという点です。こうした点での訴訟は初めてであり画期的なものです。最後に万一教育基本法が変えられた場合どうするかという点ですが、弁護士は自信をもつて最後まで進められる訴訟であることを強調しました。なぜならこのシステムのひずみ、矛盾は現に現れているし、早晩一層顕在化するものであるからです。
記者会見後、同じ場所で、提訴後集会がやはり会場を埋め尽くす参加者の下、開催されました。
集会は原告からの発言から始まりました。次々続く発言は、それぞれ自らの教育実践に裏打ちされたシステムヘの告発、糾弾、システム導入後に変化した職場の雰囲気等を伝える貴重なもので、原告17名の発言を得ました。
団長からは、裁判では府教委は我々と「法と正義」に基づいてのみ向かい合わねばならない、学校現場では「権力と強制」によつて反対の声を押し切れたがそうは行かない、つかまえた当局を我々の力と大衆の支持で追い詰めようとの決意。両副団長からは、困難な現場に上意下達システム、しかも私たちの修正の利かないシステム、競争原理のみで色々な子どもを引き受けることのできないシステムを作ることの問題点、教員の協業をバラバラにし、教育による国家介入の手段であるシステムの問題が提起されました。
次いで、以下のような発言が続きました。
担当弁護士は、民間での自らが受けた評価システム経験を基に、教育現場へ成果主義を持ち込むことの問題点を指摘されました。支える会からはさらなる支援者を広げることの呼びかけが行われました。また粘り強く闘い、結審を迎える「枚方すみぬり訴訟」原告から連帯の挨拶を受けました。事務局員、また参加者からは原告、支援者を増やすための手だてが様々に提起されました。
こうした議論を受けた後、最後に主任弁護士が訴えられたことは、このシステムは教育の本質にまったく合致せぬこと、その顕在化する矛盾をどんどん拾い上げてほしい、事実を集積してほしいということでした。私たちは原告、支援者の輪を一層広げることで、この課題に応えていきたいと思います。