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農業への思いと取り組み

1.農業、農業経営、地域社会への思い
 今日まで、農業、農家、農業者、地域を見てきました。いつも思ったことは、「農業はどうして企業化できないのか」「家業ではなく、ビジネスとしてできないのか」「どんな小さな会社でもよい、世間並みの家から独立した会社経営はできないのか」ということでした。そのため、私のテーマは、いつも、農業者はいかにあるべきか(農業経営者論)、経営をいかに近代化すべきか(経営成長論)、また、地域はどうあるべきか(地域マネジメント論)が中心でありました。
 現在も基本的には変わりません。ただ、最近、現場を歩いてみると、多くの農家・農業者が農業経営の世代交代に失敗し、廃業を余儀なくされ、さらには地域社会も衰退の一途をたどっており、こうした状況に、私は危機感を強め、同時に“農業者・地域への支援を一層行っていかねばならない”との思いを強めています。
“2010年代で日本農業の明日は決まる”、との思いを確信し、農業者の経営者化と経営再編・企業化、地域社会の再生に向けて支援していきたい。

2.20から40歳代(千葉県農業試験場時代)の取り組み
 私は、学生生活を終え、昭和47年より平成5年3月まで千葉県農業試験場に勤務し、経営研究、主に農業の家族労作経営の成長・発展について調査研究を行いました。そこでは、野菜作を中心とし、労働様式(労働の仕方・様式)と土地利用方式(農法)の2側面から農業経営の成長・発展過程を分析し、そのメカニズム、展開論理を究明し、それぞれの成長・発展段階での経営管理のあり方を明らかにしました。
 30歳代の総括として『農業経営発展と土地利用』(日本経済評論社、1982年)をまとめ(東京大学博士論文)、また、40歳代の総括として『成長農業の経営管理』(日本経済評論社、1994年)を発表しました。前者は、日本の高度経済成長期における農業経営の発展論であります。後者は、前著の結果を踏まえ、戦後農業が到達した家族労作経営の経営管理のあり方をまとめたものであり、21世紀に向けて農業者はいかに経営管理していくべきか、その実践論としての経営管理を論じたものであります。

                   序                                                  はじめに

                   第1章 課題と分析資格                                     第1章 現代農業の経営成長

                   第2章 農業経営の発展と野菜策複合化                          第2章 現代農業者の発想転換

                   第3章 畑作野菜経営の土地利用                              第3章 農業経営者の条件

                   第4章 水田策野菜経営の土地利用                             第4章 現代農業の経営改善

                   第5章 大規模施設経営の土地利用                             第5章 成長の経営管理

                   おわりに-現代農業経営の複合化と土地利用                       第6章 経営再編の基礎理論

                                                                      あとがき

3.50から60歳代前半の取り組み
 丁度、私は、50歳になった平成5年10月に岩手大学農学部に転出することになりました。転出の動機は、東北地域という水田農業の現場に我が身を置き、20世紀末から21世紀初頭の歴史的転換期の中で、日本の農業者、農業経営がどう変わるか、はたして21世紀の我が国農業を担う新しい経営が誕生するかどうか、について調査研究を行い、記録にとどめておきたいということでした。こうした問題意識の下で調査研究を行い、平成16年、自分で還暦を祝い、50歳代の総括として『現代農業経営の成長理論』(農林統計協会、2004年)を公表しました。ここでは、ごく一部ではあるにせよ、ビジネスとして農業を経営する経営体の誕生を実証し、農業経営の成長理論として取り纏めました。
 そして、平成20年2月、65歳を迎えるに当たって、これまでの研究の総括と農業者へのお礼の印として、また、農業経営学に対する新たな問題提起の書として、『現代農業のマネジメント』(日本経済評論社、2008年)を上梓しました。

                  はしがき                                              はしがき
                 
                  序 章 本書の目的と分析枠組み                               第1章 現代農業と農業経営
                  
                  第1章 農業経営者の経営者能力と意欲、                         第2章 農業経営と農業経営者
                      その規定要因                                                          
                                                                      第3章 農業経営の環境マネジメント
                  第2章 農業経営の経営目的、経営戦略の高度化
                                                                      第4章 農業経営の組織マネジメント
                  第3章 現代農業経営の経営管理の高度化
                                                                      第5章 農業経営の財務マネジメント
                  第4章 現代農業経営の管理と経営組織の再編
                                                                      第6章 農業経営の成長マネジメント
                  第5章 現代農業経営の多角化とイノベーション
                                                                      あとがき
                  第6章 現代農業経営の成長と自立化

                  おわりに

4.明日に向けての取り組み
 私は、平成21年3月末日をもって岩手大学を退職し、同年5月8日『DABアグリ研究所』を設立し、「夢と志をもったビジネス農業、豊かな地域社会・地域農業の確立」を目指して、研究し、支援することにしました。具体的には、研究所のホームページに『残日談義』を掲載して自分の意見や考え方を述べたり、あるいは、研修や講演会などでの講師を務めました。また、学会や各種団体の理事・評議員などもつとめています。もちろん、原稿書きも行っています。平成24年からは『かとりビジネス農業塾』を主宰し、農業者教育も行っています。なお、研究所の成果として残日談義の一部を『一門一答 日本農業再生のポイント(上)(下)』(農林統計出版)として取り纏めました。
私は、平成25年4月、70歳になりました。今後もビジネス農業の育成、農業経営の企業化、地域社会の再生等に向けて研究・支援して行きたいと思っています。



                    はじめに                                             はじめに
                    
                    第1章 日本農業、明日の課題                               第1章 現代農業経営の革新方向
                       -今、どんな視点で、何をどう考えるか
                                                                       第2章 現代農業経営の管理革新
                    第2章 現代農業がおかれた歴史的背景
                        と現状認識                                       第3章 明日を担う農業者教育
                                                                         -農業ビジネス教育プログラム
                    第3章 新しい地域社会の構築と地域農業                             の実施

                                                                       おわりに


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