男性のための浴衣購入ガイド

1、イメージを固める

  ここ数年は浴衣の売れ行きが順調のようです。しかし男性の浴衣姿は増えていると言えません。それでも、女性の浴衣売り場の隅にはたいてい男性用のものが置かれるようになり、値段も手ごろになってきています。
 浴衣を買うときにまず頭に入れたいのは、浴衣も洋服と同じようにファッションの一つだということです。そんなの当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが意外と忘れがちです。 というのは、浴衣は夏のイベント着として購入されることが多いので、店員のすすめるままに似合わない浴衣を買ってしまう例がよくあるのです。まずは、浴衣を着た自分のイメージを想像してみましょう。
大人っぽく決めたいのか、粋な感じにしたいのか、派手に目立ちたいのか。同伴する女性がいる場合はその方の浴衣がどんな感じかも重要な点です。
 

2、必ず体に当ててみる

 私たちは洋服に関しては子供のころから着慣れていますから、どんなものが自分に似合うのか大体わかっています。 試着しないで洋服を買うという人もいるかも知れません。しかし和服の場合必ず試着をしてください。 和服は布の面積が大きいですから、手に取ってみた時と実際に着た印象がまるで違うこともよくあるのです。
 特に、初心者はどんなものが自分に似合うのか見当もつかないという場合も多いでしょうから、気になったものはどんどん試着してみるという姿勢が必要です。
サイズに関しては、男の和服は「おはしょり」で長さを調整することができないので丈(たけ、着物の縦方向の長さのこと)に十分注意してください。 短めが好みの人はくるぶしの上付近、長めが好きな人は足の甲すれすれぐらいが目安です。

3、他人の目を利用する

 「1」で自分のイメージを固めると書きましたが、実際に着てみると自分の想像と違うということもよくあります。洋服と和服は形も素材も印象も違いますから当然ともいえます。 こういうときのためにできれば同伴者(女性推奨)と浴衣を選びましょう。
ファッションとは詰まるところ、「自分がどんな格好をしたいか」と「他人の目にどう映るか」のぶつかり合いといえますが、なれないうちは他人の目を重要視する態度も大切です。

4、色・柄選び

 女性の浴衣はカラフルなものがたくさんありますが、男性の和服は地味なものが中心です。ですから女性ほど色選びに苦労することはないと思います。 私は個人的には紺と白の浴衣が好きです。
けれども、紺白の木綿の浴衣は意外と難しいかな、と思うのも事実です。紺白の浴衣は、浴衣の中の浴衣いえますが、ちょっと間違うと「温泉宿の客」のようになってしまうことがあるからです。
 着始めの男性に私がすすめたいのは「白」か「黒」を基調としたものです。迷った時は「白っぽいもの」か「黒っぽい」ものから試着してみてください。 やせ型の人は白っぽいものを、太めの方は黒っぽいものを選ぶとすっきり見えます。

5、麻素材も選択肢に入れる

 浴衣は木綿の生地に模様を染めたものが主流ですが、麻の素材の浴衣も涼しげでよいものです。麻の生地は織(おり)で模様をつけるので地味なものが多いため、麻こそ男性向きであるともいえます。 下に襦袢を着ると、浴衣ではなく通常のきものとして着られるというのも強みです。
ただし、麻の着物は透けるので下着には十分注意する必要があります。

6、男の帯

 男の帯は角帯(かくおび)と兵児帯(へこおび)があります。角帯はどのような着物にも絞められますが、兵児帯は普段着限定です。 浴衣は普段着ですから角帯でも兵児帯でも良いわけですが、まずは角帯をすすめます。 兵児帯は子供っぽく見えるかだらしなく見えることが多く、大人が格好よく締めるのは上級者向きと考えるからです。
 帯の素材は、正絹(しょうけん、絹100%のこと)、麻、木綿、ポリエステルなどがあります。正絹は一番締め心地がよいのですが、高価なのと汗や汚れに弱いのが欠点です。麻は涼しげに見えるので暑い季節はお勧めです。 木綿は摩擦係数が大きいので意外と締めにくく、また締めた感じが野暮ったく見えることがあります。 ポリエステルは逆にすべりが良すぎて締めにくいのですが、値段は一番安いのが魅力です。
 予算に余裕があれば麻か正絹を選んでください。ちなみに私は木綿とポリエステルの混織の帯を持っていますが、これは締め具合もよく、気にいっています。

角帯、兵児帯


7、下着はどうするか

 下着は洋服の時と同じでも良いのですが、いくつか注意点があります。まずシャツですが、普通の丸首シャツでは襟元からシャツ出てしまいますから、和服用の肌襦袢(はだじゅばん)か襟ぐりが深いUネックかVネックのシャツを着てください。 また下着なしでもいけないわけではありませんが、汗が浴衣に染みるとみっともないので着用したほうが良いようです。
 下にはステテコを履くのが一般的です。ステテコは普通の木綿でも良いのですがクレープ地といって生地に細かいシボ(しわ)が入っているものが涼しくてお勧めです。予算に余裕があれば麻の下着も考慮してください。 ステテコは必ずしも履かなくてもよいのですが、履かない場合は裾から下着がのぞかないように注意してください。
また、白っぽい木綿や麻の浴衣は下着が透けて見えますので気をつけましょう。
興味かあれば褌(ふんどし)に挑戦してみてもよいでしょう。褌に関してはきもの周辺を参照。

8、はきもの

 浴衣の時は素足に下駄(げた)または草履(ぞうり)/雪駄(せった)をはくのが一般的です。ただし革の草履は浴衣には似合いませんし、高価な畳表のものは裸足に履くと汚れが取れませんので、やはり下駄がおすすめです。 下駄が好みでない場合は、サンダルに近い形の草履か、いっそのことサンダルを選んだほうが良いかもしれません。
 下駄には、二枚歯のもの、千両下駄、右近下駄などがあります。下駄が初めての人には、歩きやすい右近下駄をすすめます。二枚歯の下駄も風情があるのですが、コンクリートやタイルの床を歩くには少々慣れが必要です。
最後に、下駄や草履を履きなれていない人は、出かけるときに救急絆創膏をもつようにしましょう。


9、小物の類

 浴衣売り場や呉服売り場で、男性の持ち物として店員がすすめてくるものとして信玄袋(しんげんぶくろ)とか合切袋(がっさいぶくろ)と呼ばれる袋があります。(写真左)
私はこれがあまり好きではなく使い勝手も悪いので持っていません。ではどうするかというと手には何も持たないのです。
 持ち物としては、財布、携帯電話、カメラ、扇子/団扇、手拭いなどが考えられますが、私は携帯電話と扇子を帯に差し、手拭いやカメラは袂(たもと、袖の下の袋状の部分)に入れています。 財布はツレのバッグに入れてもらうか、財布は持たず紙幣とカードのみをマネークリップ(写真中央)で挟んで持ちます。
ただし、荷物がどうしても多い時には普通の鞄を持つか帯に提げるタイプの物入れ(写真右)を使っています。
信玄袋      帯さげ

10、着付けのコツ

 着付けに関してはまず、「とまさん着物学院」を参照ください。こちらで紹介されているのは、 帯を前で結んだ後に結び目を後ろに回すやり方ですが、「男のきもの大全」の解説にあるように最初から後ろで結ぶやり方の方も覚えてしまえば簡単です。
コツとしては、まず帯位置が高くなりすぎないことです。帯の位置が高いと子供っぽく見えます(「天才バカボン」のバカボンのイメージ)。帯は腰骨の上にのせるように締めてください。
 着くずれに関しては、浴衣はもともとカジュアルな衣服ですし、男性の場合多少崩れている方がカッコ良いというところもありますので、余り神経質にならずともよいでしょう。ただしあまりにも襟元がはだけた場合には帯の下から引っ張るようにして整えます。

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