私のキキ日記U

 やっぱりこれがキキのポーズ!!


撮影 中村知恵





カープパワーだ。





写真 上野美都江



いぇ〜い カープだ!

写真 中村知恵










雨の中 良くがんばったね
写真 中村 知恵


皆で競争っ!!
キキも負けないよ!


そ向寒の候 皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 そごう広島店様において開催させていただきました第四回盲導犬写真展「打ち込んで愛して誇りとして これが盲導犬としての、そして補助犬としての仕事です」においては、皆様の多大なるご支援とご協力により、大盛況のうちに終えることができました。
 遠方からもご足労いただき、37枚の写真を熱心にご鑑賞くださり、盲導犬へのご理解をより深めてくださった皆様に、深く感謝申し上げます。
 募金総額は、151.167円、パネル写真は40枚(2Lさいず38枚、A3さいず2枚)、キキのTシャツは14枚、「盲導犬キキ 風のように光のように」(かもがわ出版)は32冊、サービスドッグ協会様と日本ライトハウス行動訓練所様より委託を受けました盲導犬カレンダーにおいては71枚のご注文をおうけしました。
 また毎回正面玄関において行われるデモンストレーションとミニトークにおいては、急な冷え込みとなったにもかかわらず、たくさんの皆様にご熱心にご聴講いただき、厚く感謝申し上げます。
これらすべて皆様の盲導犬、補助犬へのご理解の深まりを現すものと実感させていただきました。
 このような活動ができましたのもそごう広島店様、広島東洋カープ様、国際ソロプチミスト広島様をはじめとする皆様の惜しみないご支援とご協力があればこそと、改めて厚く感謝申し上げます。
 引退を控えました盲導犬キキも、皆様の真心に満ちた最大のご支援をしっかりお受けすることができました。
 集まりました募金総額については、皆様のお心が反映されるよう全日本盲導犬使用者の会、日本ライトハウス行動訓練所、日本サービスドッグ協会、広島ハーネスの会、盲導犬の理解をすすめるキキの会の5団体で今後の活動に活用させていただきます。
 今後とも皆様より変わりない熱いご支援をたまわりますよう、日々努力、邁進してまいります。
 末筆となりましたが、残り少なくなりました今年が皆様にとって幸多きものとなり、最良の年として新年をお迎えになりますように、盲導犬の理解をすすめるキキの会一同、感謝をこめてお祈り申し上げます。


                                    





キキと一緒に歩いた広島の町。


撮影 三次真紀








撮影  中村 知恵



  座布団争奪戦!?
     「勝ったわ」

キキは座布団が大好きだ。真夏に冷たい床でハアはあと暑さと戦っていても座布団を見つけると座りたがる。部屋の隅に座布団を重ねていると、そこはキキの遊び場に変わる。毎食後、世界中で一番幸せ!になり、大はしゃぎで部屋中走り回っているキキは、有頂天のピークにさしかかると、いつもこの重なった座布団の上に飛び込む。座布団の山を蹴散らし、顔をうずめこんで、ひっくり返り、そこら中に座布団を散らし転げまわる。
「キャー、やめてキキ!大切な座布団がー!!」と悲鳴を上げる私の慌てる姿に、キキは益々大はしゃぎ。やめてーっ!と繰り返しても、どんなに言い聞かせても座布団のベッドの上で大はしゃぎ。
 部屋のすみに置いた座布団を立てておくことにした。けれど、キキは立ててある座布団の上に座ろうとする。次に机の下に置くことにした。
「これなら座れないでしょう」勝利の笑みを浮かべながらキキに語りかけた。キキは頭だけでも座布団を敷いてやるわと、低い机の下に頭を突っ込む。
 座布団は奥の部屋の椅子の上に置くことにした。来客が来たときに出せばいいのだ。キキはどんなにがんばっても、椅子の上の座布団の上には座れない。「今度こそ私の勝ちね」自信たっぷりに勝利宣言をした。
 来客があった。どうぞ、どうぞと迎えながら「すみません。座布団を置いておけない家なので・・・」と訳のわからない挨拶をしながら、慌てて座布団を出す。お客様に出したのに、キキはそそくさと座ろうとする。「どきなさい!キキ!!」と追い払い、お客様に座布団を勧める。

「わざわざありがとうございました。お気をつけて」
 玄関口でお客様を見送る。次の瞬間「座布団!!」とはっとして振り返り、慌てて片付けようとするが、すでにそこには、キキの巨体があった。1枚の座布団にしがみつくように横たわっている。
勝ったわ」
 キキの勝利に満ちた声が、聞こえてきた。



世羅チューリップ畑にて
撮影中村知恵
4月28日

  シャンプー

キキはシャンプーが大嫌いだ。けれど「盲導犬」という責任ある仕事を持っている。盲導犬は目の不自由な人の目として一人の人間の命を守っている。耳の不自由な人の耳となり働く聴導犬、手足の不自由な人の介助をする介助犬と同様に、レストランやホテル、病院への入室やタクシーをはじめ、さまざまな交通機関の利用も認められている。それだけに定期的にシャンプーをして、常に清潔にしていなければいけない。
 その上キキはアトピーだ。食事に気をつけるとともに、週一回のシャンプーをして清潔さに気をつけなければいけない。一ヶ月のうち1回は「ペットのお風呂ワンワン」さんがボランティアで無料でシャンプーをしてくれる。その上、送迎も引き受けてくれる。大助かりだ。一ヶ月のうちの残りの3回から4回のシャンプーは私が自宅の風呂場でがんばるしかない。

 お風呂場にキキのためのアトピー用のシャンプー、3種類のブラシと整えて、私もシャンプー用に着替える。準備OK。
「さあ、キキ、おいで美人になろうね」
 それまでは部屋の中で、大の字で眠っていたキキは、部屋の隅で小さくなり、しょんぼり。肩まで落として、世界中で一番不幸なのは私です・・・という顔をしている。
「さあ、シャンプーをする、いい子にはおやつをあげるよ」と言いながら、キキの大好きな犬用のビスケットを差し出す。いつもならおやつの袋を開く音がカサリと聞こえただけで、矢のように飛んでくるキキだけど、しょんぼりのポーズのまま微動だにしない。
「キキ、最高においしいビスケットよ。食べてもいいのよ」
 誘惑のひとかけらを手の平に、キキに捩じより、目の前に差し出す。
 キキは魅惑のビスケットへの欲望を1秒我慢する。そして2秒後には、パクリ!
「食べたね!ビスケットを食べたね!食べた子はシャンプーをしなきゃね。ビスケットはシャンプーのご褒美なのよ」
 『食べたね』の言葉に、潔くあきらめたキキは、すごすごと風呂場へ。いったん風呂場へ入ると、素直にシャンプーをさせてくれる。「きれいになろうね。ビジンになろうね」と言い聞かせながらシャンプーする。
 一度のシャンプーで2度洗ってやる。1回目はしっかり石鹸をつけてこまめにゴシゴシ。ラバーブラシと両目櫛でとかし、洗い流す。2度目は泡立ちが違う。ラバーブラシでしっかりとかして、またしっかり石鹸を洗い流す。シャンプーは腰痛との戦い。ラブラドールやゴールデンの巨体を洗うのは、常に中腰。立っていてもしゃがみこんでも洗えない。ついに、ついにシャンプー終了!
「キキ、えらかったね!!ああ、腰が死にそうに痛かった・・・」
 「ウエイト(待っていなさい)と命令し、キキを置いて風呂場から出る。次に、ドアをほんの少し開き、「ブルブルをしなさい」と命令する。ぬれネズミで、なんだか貧相に見えるキキは、(代官様、どうか許してください。ここから出してください)というように小さくなって動こうとしない。
「ブルブルをしないと出してあげられないよ。ブルブルをしなさい!お願いキキ、ブルウルをして!!」
 キキはというより犬は、風呂場から出ると必ずブルブルと全身を震わせ水をはじく。これをされると、敷いていたバスタオルや私どころではなく、部屋中水だらけにされてしまう。この水の被害を最小限にするためには、風呂場の中でブルブルを二度させることが必須科目なのだ。
 キキがついにブルブルをしてくれた!
「グッドガール!えらかったね」とドアを開きキキを迎えてやる。そしてここからが戦いの本番!?床に敷いたバスタオルに顔を擦り付けお尻をフリフリ。キキの得意の喜びのポーズ。もう一枚のバスタオルを身体にかぶせようとする私に、ひっくり返り、転げまわり、七転八倒!
「キキ、身体を拭かせて!」と必死の私の顎にキキの後ろ足での超鋭いキックの一発!隣の部屋へ駆け込もうとするキキを必死で抑え、命がけの?第1ラウンド。タオルがけ終了。
 第2ラウンドは隣の部屋。駆け込んだキキは、再び転げまわり、敷いたバスタオルをクチャクチャにタオル団子を作り、カーペットをタオル代わりにしている。扇風機を強で回し、バスタオルを両手に第2ラウンドも命がけ?
 ようやくキキが落ち着いてダウン姿勢(伏せ状態)になるとドライヤーをかけてやり、アトピーで痛めやすい4本の手足の指の間もしっかり水分を取ってやる。
 お風呂場を片付け、バスタオルを洗濯しながら、ベランダでは最後の仕上げ。ブラッシング。「キキは偉いね。お利巧さんだね。超ビジンになろうね」と言い聞かせながら、3種類のブラシでしっかりとかしてやる。
「さあ、超ビジンの出来上がり!」
 キキはシャンプーとブラッシングのさわやかさで爽快な気分。午後からの今日の仕事はすやすやタイム。さわやかなお昼寝を満喫すること。
 規則正しく定期的にシャンプーとブラッシングをすることは、エチケット。そしてユーザーと盲導犬との大切なスキンシップ。

        
  プロ意識

キキは仕事に誇りを持っていると実感させられることが多い。町を歩いていてすれ違った歩道でも、マンションのベランダからも、ペットの犬からワンワン、ギャンギャンと吠えつかれることが多い。その吠え声は憎しみと怒りに満ちていて、噛み付かれそうな迫力でいっぱいだ。私はそのワンワン節に何度もドキン!と心臓が止まりそうになった。一度などキキの4分の1ほどの大きさのシーズー犬に、お尻をガブリッと噛み付かれた。
 けれどどんなに吠えつかれようと噛み付かれようと、キキはいつも知らん顔。「私はあなたたちとは違うのよ。吠えたいだけ吼えなさい」というように平然と歩き、盲導犬としての仕事をまっとうする。その毅然とした態度に「さすが盲導犬!」と感心させられる。

 盲導犬としての自分の役割をしっかり認識していると感じさせられたこともある。ある時期キキは少々太り気味になった。脂肪が厚くなると内臓の病気になりやすい。また、関節の弱いラブラドールの足には負担になる。運動をしてダイエットさせなければと思った。
 歩くことの目的は、キキのダイエット。何も用事はないけれど、町の端から端まで歩いた。東の端に行けばUターン、西の端に行けばUターンと。
 ダイエットのために歩こう歩こう!翌日も同じコースを歩こうとした。東の端に向かって歩いていると、キキはぴたりと立ち止まった。(この先はなんにもないじゃない。用事がないところにはキキは、行かないわよ)と道の途中で引き返し始めた。仕方がないので、今度は西に向かって歩いた。町の端が近づくと、キキは同じようにピタリととまり、引き返した。(この先は何もないでしょ。無意味よ。目的地がないのになぜ歩かなきゃいけないの)
 キキは私にそういう。
「キキは盲導犬。ユーザーをその目的地に安全に誘導することが仕事なの。散歩はキキの仕事じゃないのよ」

また、仕事大好きと実感させられる出来事もしばしばだ。猛暑がやってくると予報された夏。暑さに弱いカナダ生まれのラブラドールの血を引くキキは、こんもりとした毛皮のコートを脱ぐことはできない。アトピーがひどくなってはいけないしと、酷暑を乗り切るまでは仕事をできるだけ休ませることにした。
 けれど運動不足は肥満の原因。毎日歩かせることは必要だ。朝、6時台に散歩に行くことにした。町を回って山の中腹にある公園に行くことにした。山を削って作られたその公園は、小さいけれどひんやりと空気の新鮮さと山の呼吸を感じる。キキの大好きな公園だ
 毎朝大喜びで出かけた。公園に到着するとひんやりと冷たい大地のベッドで大の字で眠る。時には頭を持ち上げ鼻をぴくぴくさせて山の香りと朝日のシャワーを楽しんでいた。
 けれど、そんな日々が一週間を過ぎると、キキは公園に行くことを拒み始めた。「キキ、今日も行こう!」と言う前に玄関の扉に向かって尻尾を振り回し「行こう!行こう!」とわくわく大喜びだったキキが、部屋の真ん中でダウン姿勢(伏せ状態)。
「どうしたの?キキの大好きな公園に行くのよ。山の空気は気持ちがいいよ。さあ、行こう!」
 キキはダウン(伏せ)したまま。「そんなところ行かないもんね」というように顔をそらす。「楽しいよ」と無理やり連れ出すと、家の近くにある文房具屋に立ち寄って、郵便局に立ち寄って、スーパーに立ち寄ってと、次々立ち寄る。「今日はここに用事はないの」と私に問いかける。町の中で私が利用している薬局、パン屋さん、100円ショップと、早朝でまだ回転していない店頭の前で一軒ずつ立ち止まり私に問いかける。
「キキはね、遊ぶためにいるんじゃないの。仕事をするためにいるのよ。行きたいところを教えて。ちゃんと連れて行ってあげるから」
 キキの声が聞こえてきた。キキは立派な「盲導犬」。仕事が大好き。プロ意識をしっかり持っている。






小学校講演風景


大盛況のうちに終わった盲導犬写真展!
11月11日より開催した「第三回盲導犬写真展。三回目となると反響は期待できないことを予測し、覚悟を決めた。第一回の写真展は大盛況だった。そごう広島店一階広大なミレニアムコートを鑑賞する人々で溢れさせた。二回目は九階催事場に場所を移した。来場者は半減。多くの人々が前回と同じ会場であるものと信じ、ミレニアムコートを訪れ、新たな写真展の会場を見つけ出すことができなかったという。また二回目は第一回とそれほど変化のないものと判断した人も多かった。けれど予測を上回る募金額と来場者。
 三回目となると期待はできないと考えた。新聞テレビなど報道関係も関心は薄いだろう。開催前に報道してくれた中国新聞も読売新聞も、昨年に比べて記事として縮小された。来場者は、二回目の半減、とはいかないまでも、減少は確実と思った。
 二回目であろうと三回目あろうと、盲導犬に関心があれば来てくれるだろう。盲導犬への理解に少しでもつながれば、また一人でも盲導犬に関心を持つ人を増やしていけたらと考えた。
午前8時よ純準備に取り掛かる。10時前に開催の準備が整うと、中国放送、広島テレビ、NHKと取材に来てくれた。午後にはFM広島Pステイションのラジオでのインタビューと朝日新聞の取材も受けた。朝日新聞に次いで毎日新聞も記事にしてくれた。けれど一番大きな反響をもたらしてくれたのはNHKによる衛星放送での報道だった。
 二回目を上回る来場者に驚いた。「まあ、写真を見ていると、がんばっている今井さんとキキちゃんから、たくさん元気をもらえたわ」「どの写真もみんないいわ。アンケートにあるどの写真が好きですかというところに、『すべて』って書いたのよ。みんないいんだもの」などなど、感動の言葉をたくさんいただいた。
 ベスト4の作品は、市民球場でカープ阪神戦を観戦するキキと私の写真、コスモス畑の中でのキキとパピーベジットくんと私の写真、お昼寝のキキと私。そして宇野千代生家の庭で寂しそうにウエイトの仕事をがんばるキキの、4作品だった。
 けれど一人一人好きな作品は異なった。どれもみんないい!」という声を度々耳にした。










 これらの反響は他の面でも表れた。注文販売を行った盲導犬カレンダーは130部を超える注文を受けた。キキの本「盲導犬キキ 風のように光のように」は44冊、キキとベジットくんの写真入りのTシャツは36枚パネル写真は3枚の注文を受けた。募金の合計額は123541円。第一回目に次ぐ大反響の写真展となった。
 ご来場くださった皆様、ご協力くださったそごう広島店様、広島東洋カープ様、報道機関の皆様そしてボランティアの皆様に感謝。
  「パパも大好きよ、ママも大好きよ。でもキキは・・・」
写真展の開催初日からキキは一日中寝て過ごした。キキに会いに来てくださった皆さん、質問をしてくださる皆さんが話しかけても知らん顔、というよりただ寝ていた。キキ、もっとお愛想してよ。起き上がって、シッポを振って!という思いだった。でもキキは悪くない。キキは盲導犬としての仕事をまっとうしているだけなのだから。盲導犬は歩いているときはユーザーの目となり、安全に誘導し命を守ってくれる。けれど、移動の必要のないときは、ダウン姿勢で寝ていることが仕事、いるかいないかその存在さえも気づかせないことが仕事なのだから。
 二回目の昨年より鑑賞する来場者が多い分一日の会場で過ごす時間は長くなり、キキの休む時間が短くなった。キキの体調が心配だった。昨年は疲労感が写真展後の内耳炎、耳血腫を引き起こしたのだから。私のこんな心配をよそに、キキはマイペースで「寝て待て」をまっとうしてくれて、元気で写真展の会場と家を往復する日々をこなしてくれた。
 そしてこの日がやってきた。パピイウォーカー宮本パパとママが大阪からやってきたのだ。ママを見つけるなり、ママだっ!と跳ね起きたキキは、ジャンプして飛びつく。けれどすぐに私の足元に帰ってきて、私にしがみつくようにぴったり身体を寄せる。次にパパを見つけたキキは、やはりパパに飛びつき追いかけた。けれどすぐに私の足元に帰ってきて、ぴったりと身体を私につけた。(ママが大好き!!でもキキは、広島の母さんのそばを離れない)(パパが大好き!!でもキキは広島の母さんのそばを離れないの、離れるわけにはいかないわ)とキキの心の声が聞こえてきた。
 屋上に上がった。パパとママを前に喜びで心が爆発しそうなキキは、ひっくりかえり、手足をばたばた。得意のポーズで全身に喜びを現した。そしてパパとママに大阪に連れて帰っちゃだめとわかってもらえたと安心したキキは、私から離れてパパとかくれんぼで遊び始めた。見えない目にも子犬のころに帰り、パパに甘えて、張り裂けそうな喜びに満ちているキキが見えてくる。
今井さん、もうそろそろ帰らないといけないんです。車で待機しているアーリー(盲導犬を引退したキキのお兄ちゃん)とフルル(キャリアチェンジ犬)に会われますか?」
 宮本のママの言葉に写真展の会場であるそごうから屋外へと向かった。二頭を迎えに行ったパパは隣の建物の屋外の階段で待っていてくれた。再びパパを見つけたキキは爆発しそうな大興奮。三頭がもみくちゃになり、喜びを表した。アーリーくんもフルルちゃんも私の元へ挨拶に来てくれた。フルルちゃんは後ろ向きになり、しゃがみこんだ私の膝にお尻りを乗せる。前足だけで身体を支えるのだから、負担になるだろうと心配になった。
「フルルちゃん、前足で身体を支えたら、前足がしんどいでしょう。大丈夫?」
 私の心配をよそにいったん離れたフルルちゃんは同じ動作を繰り返した。
「フルルは誰にでもこのポーズをするわけではないんですよ。自分の好きな人にしかしないんですよ」とパパの声。「フルルちゃん、ありがとう。私も大好きよ」
(ワーイワーイ!パパ、パパ、パパ!!ママ、ママ、ママ!!大、大、大好き!!)
 大興奮のキキがパパに向かって飛びつくと、アーリーお兄ちゃんが間に入ってきた。(これはぼくのパパなんだからね)
 イエローの二頭とブラックのキキが絡み合う。
「黒いキキが灰色になって、今井さんも払わないとパンツが毛だらけで白くなってますよ」
心配そうにキキのパパが言った。

「それじゃあ私たちは遅くなってしまうのでもうそろそろ帰ります」
「はい、ありがとうございました。お気をつけて」
アーリークンとフルルちゃんとともにパパとママが遠くなっていく。振り返り、振り返り、手を振り、ながら消えていく。
「さあ、キキ、写真展の会場に帰らなくっちゃ。」
(いやだ、パパとママはきっと、帰ってくるよ) パパとママの消えていった方向を見つめたまま動こうとしない。「さあ、キキ、また会えるから帰ろうね」と、何度も諭すと、やっと動いてくれた。写真展の会場に帰ると、キキの寝るだけのお仕事がまた始まった。いつもあっけらかんのキキだけど、パパとママとの別れは何度繰り返しても
つらいね。

パピーウォーカー宮本のパパママとアリー兄ちゃんと妹のフルルちゃん








  宮本のパパとキキ
パパ大大大大好き!



またな、キキ(宮本のパパ)
帰ってきて〜(キキ)
         撮影 上野美都江



デモンストレーション
16日日曜日午後1時からと3時から二回のデモンストレーションとユーザー今井のミニトークが、そごう広島店正面玄関で行われた。
 今回のデモンストレーションは10月にできた日本盲導犬協会島根あさひ盲導犬訓練センターによるものとなった。
 デモンストレーションの後、はミニトーク。盲導犬の真の役割について講演した。50名を上回る皆さんが集中して聞き入ってくださることを強く感じた。
「いいお話をありがとう!」と抱きしめてくださったのは、「息子も目が見えないの、でもがんばってくれているのよ」と話してくれたお母さんだった
皆さんとのふれあいをと遠方から駆けつけてくれたパピイウォーカー鈴木さんとパピイベジットくんも大ハッスルする。

そごう正面玄関
ミニトーク
 撮影野呂道雄



「これまでで最も多いお客様に聴いていただけた、最高のデモンストレーションとミニトークでした」とそごう責任者の大藤さんからも何よりのありがたい言葉。
最終日11月の17日月曜日も無事に終え、17時といういつもより3時間早い終了時刻はすぐにやってきた。
 この最終日の難題、荷物運びの車と運転手の不足は、キキの会理事Kさんのご主人が引き受けてくれて、午後6時半には家に帰り着いていた。午後8時9時近くに帰宅する日々だっただけに不思議な思いがした。春から計画し、半年の準備期間が、まるで遠い夢の日々のように感じられた。
 明るいうちに帰ってこれたキキは、迎えてくれたおじいちゃんに大はしゃぎ。
(ワーイワーイ!おじいちゃん、もう寝てるだけのお仕事終わったんだね)