スペイン継承戦争(スペインけいしょうせんそう)

[ヨーロッパ−近世]

スペイン王位の継承権を巡って西欧諸国で戦われた戦争。 フランス王ルイ14世の最後の、そして最も大規模かつ凄惨な戦争である。 スペイン=ハプスブルク家のカルロス2世は虚弱で後継者が居なかったため、 外国から継承者を招くこととなった。 そこでオーストリアのカール大公とフランスのアンジュー公が候補となったが、 何れもヨーロッパに超大国が生じることになるため諸国、特にイングランドの反発を招いた。 イングランドによる分割相続案もあったが、これはカルロス2世が拒否した。 結局カルロス2世はフランスのアンジュー公フィリップを後継者に指名し、 フェリペ5世として即位した。 しかしルイ14世はフェリペのフランス王位継承権を破棄しなかったため、 フランス=スペインの合併を恐れた他国はこれに反発、 イングランド・オーストリア・オランダを中心とした対フランス同盟がフランスに宣戦布告した。 当初はフランス・スペイン・バイエルン対諸外国同盟の戦争であったが、 次第にスペイン国内の王支持派とカタルーニャを中心とする反王派との内戦にも発展した。 戦闘はイングランドのマールバラ公・ オーストリアのプリンツ=オイゲン率いる同盟側が優勢でスペイン領ネーデルラント・ バイエルン・イタリア等を制圧したが、 フランス側もヴィラールなどの指揮で盛り返し、 双方多大な犠牲を出したこともあり戦線を膠着させた。 長期の戦争により各国は厭戦気運が高まり、 イングランド(戦争中に連合王国=イギリスとなった)では継戦派のマールバラ公が失脚した。 またオーストリアではスペイン王候補のカール大公が皇帝となり、 こちらが勝ってもオーストリア=スペインの超大国が生まれることとなり、 諸国はフェリペの退位に消極的となった。 そのため和平交渉が進み、 フェリペはフランス王位継承の放棄と領地の割譲によって王位を認められ、 戦争は終結した。 この戦争によりフランスは領土を大幅に減らされたスペインと親戚となり、 オーストリアはネーデルラント・イタリアのスペイン領を獲得し、 イギリスはジブラルタルと植民地を獲得した。 こうしてこの戦争は各国の痛み分けのような形で終結した。

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