倭寇(わこう)

[日本−室町時代・中国−明]

日本で室町時代、中国では明の代に横行した海賊の総称。 江南の海岸沿いを荒らしまわった海賊で、 日本人が中心だったことから倭寇と呼ばれた。 しかし、実際には中国人も多かったという。 日本刀と火縄銃を主兵装とし、明の軍にも怖れられた。 この時期倭寇が現れた理由としては、日本が南北朝の兵乱、 その影響で支配力の弱い室町幕府の時代であり、 また明も北方の騎馬民族や宮廷の宦官のため国力が弱まっていて、 国家権力の介入を受け難かったことが挙げられる。 また、室町時代は庶民が力をつけた時代であり、 海でも海賊衆などのローカルな勢力が台頭したことも大きな要素である。 かれら倭寇も、日本が強力な中央集権の江戸時代に入り、 中国でも清が天下を統一すると、海賊として勢力を保つことが難しくなり、 次第に消えていった。

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