ヴェルサイユ宮殿(ヴェルサイユきゅうでん)

[ヨーロッパ−近世〜]

ブルボン朝のフランス王ルイ14世によって建てられた宮殿。 ルイ14世は幼い頃フロンドの乱によってパリを追われた経験から 大都市民衆や貴族に不信感を持ち、 郊外の宮殿建築を思い立ったと言われている。 ネーデルラント侵略戦争後に治世が安定すると、 ルイ13世時代に狩猟用の館があったパリ郊外のヴェルサイユに宮殿を建設した。 このヴェルサイユに移ってパリから離れると共に貴族を強制移住させて監視した。 また民衆から離れるだけでなく庭園を解放し、観光ガイドブックまで作って 彼らの人気を取ると共に権威を見せつけて求心力の維持に利用した。 さらに庭園を造る際に水を引く高地がない所に水道を引き、 自然を克服する力を国民や諸外国に見せつけた。 このように大金を投じて作られた豪勢な宮殿はフランス王家の宣伝に大いに活用された。 また豪華な調度品は非常財源の意図もあり、ルイ14世の晩年には戦費調達のため売られた。 ちなみに大金といっても重商主義で豊かになったフランス国家予算で十分賄える範囲内であり、 後年のフランス財政破綻は連年の戦役が主原因である。 宮殿はフランス王政崩壊後も用いられ、 フランスを破ったプロイセンはここでドイツ皇帝に即位し、 第一次大戦後はここで講和条約が調印された。

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