交通革命(こうつうかくめい)

[ヨーロッパ・北米・全世界−近代]

交通網の飛躍的発展に伴う社会の変革。 特に19世紀の蒸気機関車・蒸気船の発明に端を発する変革を指すことが多い。 陸上交通は従来人力・畜力に頼っていたが、 蒸気機関車の発明と鉄道の進歩により、 水上船舶に匹敵する輸送効率とそれを上回る速度を手に入れた。 そのため特に内陸の輸送効率が大幅に改善され、 世界中で鉄道網の建設ラッシュが起こり、 移動時間の短縮と輸送量の増加を招いた。 また蒸気船の発明とその性能向上、特に外洋航行性能の向上により、 従来の帆船では航海に適さなかった水域でも航海が可能となり、 スエズ運河の開通も相まって新しい航路が開かれていった。 この結果命懸けの冒険無しに世界一周ですら可能となり、 人・物の移動の大幅な増加を招いた。 特に交通革命の利益を享受したのがアメリカで、 大陸横断鉄道や太平洋横断航路の開設により西への進出が促され、 大西洋の交通量増加によって移民が促進され人口の増加をもたらされることとなった。 また軍事面でも影響は大きく、 プロイセンのモルトケは鉄道網を活用することで大規模な部隊の迅速な運用を可能とし、 ドイツ帝国の建国に貢献した。 また海上輸送力の向上はアジア・アフリカへの進出・植民地化を促し、 その流れで鎖国していた日本の開国も引き起こされた。

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