[中国－新・漢]
光武帝劉秀に仕えた功臣。雲台二十八将の筆頭。字は仲華。
若い頃に長安で学問を修め、長安に遊学していた７歳年長の劉秀と親交を結んでいた。
後に更始帝となる劉玄が挙兵した際に推挙されたが、鄧禹はこれには応じなかった。
劉秀が河北に派遣され更始帝から離れるとこれを追い、
[業β]で合流して以後重用された。
河北では武将として兵を率いて度々勝利したが、
同時に多くの人物を推挙し劉秀を人事面で支えた。
雲台二十八将に限っても呉漢（２）、賈復（３）、寇恂（５）、銚期（１２）
が鄧禹に推挙され、何れも大功を立てた。
赤眉軍が長安に侵攻して更始帝と対峙すると、
隙をついて関中を攻略するため鄧禹が二万を兵と共に派遣された。
関中攻略の最中劉秀が洛陽で光武帝として即位すると大司徒に任ぜられ
そのまま軍を率いたが、
降伏する者が相次ぎ百万と称する大軍となった。
さらに更始帝を破った赤眉軍が満足な統治が出来ず食料を求めて転進すると、
その隙に長安を奪取した。
ここまでは順調であったが、
群雄の延岑や長安に戻ってきた赤眉軍に度々破れたため
馮異と交代させられることになった。
しかし功を遂げられないことを恥じた鄧禹は不利な戦いを続け、
諫める馮異まで巻き込んで大敗してしまった。
その後馮異が敗残兵を纏めて再戦して勝利し、
敗残の将として劉秀の下に戻った鄧禹は大司徒の印綬を返上したが、
数か月後には右将軍に任じられた。
天下が定まると特進として相談役のような立場になった。
劉秀の死後は明帝の太傅として賓客の待遇となったが、
まもなく死去した。
鄧禹は主に人材を推挙した功績から雲台二十八将の筆頭とされた。
武将としては関中攻略軍を率いて長安を陥落させたが、
その後無理を重ねて大敗しあまり良い実績を残せなかった。
また当時は劉邦の軍師張良や孔子の弟子顔回に例えられたが、
張良のような戦略・戦術・謀略面での進言は伝えられていない。
しかし推挙した四将は２・３・５・１２と二十八将の上位であることからも分かるが
何れも大功を挙げ、天下統一への多大な貢献をした。
二十代前半の若者がこれ程人を見る目があったことは驚くべきであろう。