[中国－新・漢]
新末の動乱期の群雄の一人。
光武帝劉秀の義兄で後に重臣となった鄧晨の甥で、
劉秀らの挙兵時には若かったためか従わなかったが、
更始帝即位の頃に挙兵した。
拠点の育陽からはあまり動かなかったが、
赤眉軍に敗れた劉賜や陰識・陰麗華の庇護者となって劉秀に感謝された。
劉秀が光武帝として即位すると臣下となり破虜将軍に任じられた。
しかし劉秀配下の呉漢が荊州平定の際に各地で略奪を行って荒らし、
鄧奉も被害を受けるとこれに怒って呉漢の軍を破りそのまま劉秀に反旗を翻した。
劉秀は討伐軍を送り込んだが、
雲台二十八将の岑彭を撃退し、
賈復を重症に追い込み、
朱[示古]を生け捕りにする活躍を見せた。
遂に劉秀自身が大軍を率いて親征し、
これには敵わず敗れて鄧奉は捕虜にしていた朱[示古]の仲介で降伏した。
劉秀は鄧奉が元々身内かつ功臣であり謀反の原因が呉漢の悪行であったため許そうとしたが、
岑彭と耿エンが
「鄧奉は皇恩に背いて反逆し、陛下の親征を受けながら悔いることもなく、
戦いに敗れてようやく降伏したのです。
処刑しなければ示しがつきません。」
と諫めたため止む無く鄧奉を処刑した。
鄧奉は元々劉秀の身内で信頼篤い部下であったが、
呉漢のやらかしのため背くことになった。
その直前自分が保護した陰麗華を差し置いて郭聖通を皇后にしたことも
不満の一因であったとも言われる。
何れにしろ鄧奉の率いた兵は二万に満たず大きな勢力では無く、
鄧奉自身策を弄するタイプではなかったが、
とんでもない善戦を繰り広げ雲台二十八将すら破って見せた。
最期は皇帝となった劉秀とその大軍によって敗れたが、
それまでに並外れた武勇を示した。
ただ皮肉にもその武勇のため危険視され、処刑に追い込まれてしまった。