ティトゥス

[ローマ帝国]

ローマ帝国皇帝。本名は父と同じティトゥス=フラウィウス=ウェスパシアヌス。 区別するため父はウェスパシアヌス、息子はティトゥスと呼ばれる。 父が既に将軍になっていたため、父よりは上流階級で育つ。 若い頃から優れた才を発揮し、軍団の副官を歴任してさらに磨きをかけた。 父がユダヤの反乱鎮圧の司令官に任命されるとこれに従い、戦功を重ねた。 さらに父がウィテリウスに反抗して自ら皇帝に即位すると、反乱鎮圧軍の司令官となり、 エルサレムを占領するなど大きな戦果をあげた。 そのことはティトゥス凱旋門に記されている。 反乱鎮圧が一区切りついた段階で父のいるローマに帰還し、父と共に帝国を統治した。 しばしば父と同時に執政官になっている。 帝位のためにユダヤ人ベレニケとの恋愛を諦めることもあったが、 父が亡くなると自然に帝位を継いだ。 彼の代に有名なコロセウムが完成している。 しかし、治世の最中にヴェスヴィオ火山の噴火が起こり、事後対策に奮闘したあと、 役割を終えたかのようにあっけなく僅か2年の短い治世と41年の長くはない人生を終えた。 父よりも真面目な人物であったようで、その死は多くの人に悲しまれた。 中には「長生きしたらこれほどまでには愛されなかっただろう」などと言う人もいたが。

見出しのページに戻る
歴史小事典+歴史世界地図に戻る