ティベリウス

[ローマ帝国]

ローマ帝国の第2代皇帝。 オクタヴィアヌスの妻リウィアの連れ子で、養子となった。 オクタヴィアヌスはティベリウスと娘ユリアを結婚させ、 己の後継者にはユリアと故アグリッパの子ガイウスとルキウスを考えていたようである。 生来内向的でユリアとウマが合わなかったティベリウスはロードス島に引きこもり、 オクタヴィアヌスとは仲違いしてしまう。 しかしガイウスとルキウスが相次いでオクタヴィアヌスに先立ったため、 唯一残った身内であるティベリウスが和解し、後継者となった。 ティベリウスはオクタヴィアヌス在世中にゲルマン人と戦い、 軍事手腕はオクタヴィアヌスを凌ぎ、政治手腕もなかなか優れていた。 そのため治世の前半はよく帝国を治めた。 しかし、やがてあまりにも内向的な正確が頭をもたげ、 皇帝在位のままカプリ島に隠棲してしまう。 政務は主にセイヤヌスに任せていたが、このセイヤヌスが奸物で、 ローマは恐怖政治に支配された。 やがてさすがのティベリウスも放ってはおけなくなりセイヤヌスを排除したが、 ローマ市民の不満は頂点に達していた。 そのままカプリ島で死去したが、その死の知らせは市民に歓呼で迎えられたのである。 ティベリウス自身は決して凡庸ではなく歴代ローマ皇帝の中でも有能な人であったが、 あまりにも内向的な性格が災いし、暴君の汚名を着せられてしまった。 不幸な人である。

見出しのページに戻る
歴史小事典+歴史世界地図に戻る