テルシオ

[ヨーロッパ−近世]

近世スペインで採用された部隊編成・或いは陣形。 スペイン方陣とも呼ばれる。 以前のスペインでは剣を用いる歩兵と軽騎兵を主体としていたが、 イタリア戦争で重装兵主体のフランス軍に対抗できなかった。 そこで名将コルドバが新たに生み出した陣形がテルシオである。 部隊の主力を長槍(パイク)を装備した歩兵とし、 方形に配置した。 また補助としてクロスボウおよび銃兵を四方および四隅に配置した。 1つのユニットは約3000人の兵力で構成され、 最初は3部隊が創設された。 テルシオ(3部隊)の名はそれに由来する。 テルシオは歩兵の要塞として設計されたため防御力の高い編成で、 フランス戦勝利の原動力となったが、 機動力に欠ける欠点があった。 後により進歩したマウリッツの陣形の誕生を受け、 1ユニット1000人に減らすなどの改革を実施したが、 銃器と戦術の進歩によって30年戦争の頃には時代遅れとなり、 スペインがフランス軍制を採用したことで消滅した。 また当初は無敵の戦闘力を誇ったテルシオであるが、 スペインが占領地であるイタリア・ネーデルラントを維持するため 常に大量の部隊を維持する必要に迫られ、 それが財政を圧迫してスペイン没落の遠因ともなった。

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