シュラフタ

[ヨーロッパ−中世〜近世]

ポーランド王国にて参政権を持つ階級。 一般に「貴族」と訳されるが、国内総人口の10%もいたため、 実体としては「武士」「騎士」「士族」の方が近い。 ポーランドがキリスト教化する前から存在していた戦士階級が起源であり、 西欧諸国と同様中世には地方領主として王に匹敵しうる勢力を持っていた。 シュラフタの中でも特に富裕な「貴族」らしい者はマグナートと呼ばれた。 他の諸国が中央集権化していく中、 ポーランドでは外国であるリトアニア出身であり、 それ故権力基盤が弱かったヤギェヴォ朝の王であったこともあり、 シュラフタによる分権が維持された。 さらにリトアニアと合併したルブリン合同により、 ポーランド=リトアニア共和国においてシュラフタの議会セイムは国王選挙権をも獲得し、 シュラフタによる「黄金の自由」が完成した。 しかし極端な分権主義は中央集権化が進んだ諸国に対抗できず、 またセイムを牛耳るようになったマグナートが既得権益確保に動くようになり、 ポーランド=リトアニア共和国弱体化の原因となった。 ポニャトフスキ王の5月3日憲法によりシュラフタの特権は制限されたが、 その後まもなく周辺諸国によりポーランド=リトアニア共和国は分割され滅亡した。

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