第2次シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争(だいにじシュレースヴィヒ=ホルシュタインせんそう)

[ヨーロッパ−近代]

デンマークとプロイセン・オーストリアの間で戦われた戦争。 第1次シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争で解決できなかった公国の帰属問題であったが、 デンマークが憲法を改正し公国を併合すると宣言するとドイツ諸侯がこれに反発、 プロイセン首相ビスマルクは条約違反を主張し併合を撤回するよう圧力をかけた。 デンマークは諸外国の干渉を見込んで要求を拒否したが、 参戦を期待していたスウェーデンを含めデンマーク側に立って介入する国は現れず、 逆にプロイセン側にオーストリアが味方して戦うことになった。 緒戦でプロイセン連合軍はデンマーク軍を撃破したが、 デンマーク軍はユトランド半島付根にあるアルス島の要塞に籠って戦線は膠着した。 陸軍大臣ローンは戦前に長期戦を防ぐため迂回を進言していた参謀総長モルトケの正しさを評価し、 王に進言して現地の戦闘指揮を任せた。 モルトケは正面戦闘を避けて迂回してアルス島に上陸・占領、 要塞を攻撃して陥落させた。 要塞を落とされたデンマークは動揺して和議を申し出、 プロイセンはシュレースヴィヒ、オーストリアはホルシュタインを獲得することで終戦に至った。
この戦いで指導力を発揮したモルトケは以後の戦争でも中心となって作戦を指揮し、 閑職であった参謀本部がプロイセン軍、後のドイツ軍全体を統括する切っ掛けとなった。 また戦果を二分したプロイセンとオーストリアはドイツ統一の主導権に加えて両地域の支配権を巡っても対立し、 普墺戦争を引き起こすことになった。 一方敗北したデンマークではスウェーデンが議会の反対で味方に付かなかったことで 北欧の統一を目指した汎スカンディナヴィア主義が頓挫し、 以後北欧は中立主義の道を進むことになった。

見出しのページに戻る
歴史小事典+歴史世界地図に戻る