汎スカンディナヴィア主義(はんスカンディナヴィアしゅぎ)

[ヨーロッパ−近代]

19世紀に起こった北欧のデンマーク・スウェーデン・ノルウェーの統一を目指す思想運動。 (ただし当時ノルウェーはスウェーデンと同君連合であったため実際はデンマークとスウェーデンの統一である。) この3国は中世カルマル同盟を結成するなど結びつきが強く、 19世紀のナショナリズム高揚と共に統合を目指す動きが現れた。 当初は文芸運動で文化的な連帯を目指すものであったが、 北欧諸国の王が関心を寄せたことで政治運動へと変貌していった。 しかし実質ロシア領であったフィンランドの学生が加わったことでロシアが介入し、 それによって北欧諸国の政府が運動を不快視するようになった。 そんな中シュレースヴィヒ=ホルシュタイン問題が発生すると スウェーデン王はデンマーク側に立って介入し、 第1次シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争では列強の介入もあってデンマーク優位で終戦に至った。 しかし第2次シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争では戦争介入に乗り気なのは王だけでスウェーデン政府はこれを拒絶し、 ビスマルクの外交によって列強の介入も防がれて孤立無援となったデンマークは敗北した。 この敗戦によって汎スカンディナヴィア主義は頓挫し、 北欧諸国は各々中立路線を歩むようになった。

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