アントニオ=ロペス=デ=サンタ=アナ

[ラテンアメリカ−近代]

メキシコの軍人・政治家。 「西半球のナポレオン」と呼ばれる軍人で11回大統領に就任したが、 独裁的手法で反感を買い、さらに米墨戦争の敗北によって領土の半分を失った。 クリオージョ(植民地生まれの白人)の有力者の子として生まれ、 学校の卒業後軍人となってメキシコ独立戦争では副王軍の騎兵士官として戦った。 しかし上官のイテゥルビデが独立派に寝返るとサンタ=アナもこれに従い、 昇進を重ねて将軍になった。 独立後の混乱期には変節を繰り返して自己の勢力を拡大し、 再征服を目論んだスペイン軍を撃破したことで名声を高めた。 遂には大統領に上り詰めたが、独裁者として自由主義を弾圧して各地の叛乱を招いた。 サンタ=アナは大量の兵をかき集め反乱を鎮圧していったが、 テキサスでは焦土戦術による補給難に苦しめられ サンジャシントの戦いで敗北し捕虜となった。 サンタ=アナは身の安全の代償としてテキサスの独立を認めたが、 メキシコ政府はサンタ=アナを解任し条約の無効を宣言した。 サンタ=アナは一旦アメリカへ亡命し後に帰国したが、 フランスが派兵したため軍司令官として返り咲き、 戦傷で片足を失ったことを宣伝して支持を集め再び大統領となった。 しかしまたしても独裁的手法で反乱を招いて失脚し、今度はキューバに亡命した。 米墨戦争が始まるとまたまた軍司令官として復帰したが、 戦いに敗れ広大な領土を失った。 その後も亡命と復帰を繰り返し、最後は恩赦を利用して帰国したが、 亡命中に事業に失敗した上白内障で失明し、 寂しい最期を迎えた。
サンタ=アナは有能な軍人として頭角を現し「西半球のナポレオン」と呼ばれたが、 軍事政治何れもナポレオンに及ばなかった。 特に政治指導者としては徒に権力を振り回して混乱を招いただけで ろくな業績を残せなかった。 だがこのような人物が何度も権力者として返り咲き一時代を築けた点に 当時のメキシコの混沌ぶりが垣間見える。

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