サミュエル=ヒューストン

[北米−近代]

アメリカの軍人・政治家。「サム」=ヒューストンの通称でも知られる。 テキサス革命の指導者の一人で、 初代・第3代テキサス共和国大統領を務めた。 バージニア州で軍人兼農場主の子として生まれ、 家族と共にテネシー州へ引っ越したが、 兄の店で働くことに反抗して家出し、 先住民のチェロキー族と共に数年間暮らしその後小さな小学校を設立した。 米英戦争では兵卒として従軍し、 後に大統領となるアンドリュー=ジャクソンの部下になったのを切っ掛けにその知遇を得た。 戦後法律を学んで検事、下院議員、そしてテネシー州知事を務めた。 なおヒューストンはジャクソンの支持者であったが、 対先住民政策は真逆でその迫害には反対し続けた。 知事の辞職後にはアーカンソー準州を経てテキサスに移住し、 テキサス革命勃発後には最高司令官に任命された。 ヒューストンは知事を務めるなど政治家としてのキャリアはあったが、 軍事面では上級指揮官としての経験はほとんど無かった。 それでもアメリカ国内で支援を募って組織としての正規軍を作り上げ、 アラモ砦の陥落など苦戦を重ねながらもサンジャシントの戦いでサンタ=アナに勝利し、 テキサスの独立を決定的なものとした。 戦後この功績から支持を集めてテキサス共和国初代大統領となり、 アメリカによるテキサス併合を支援した。 その後は上院議員やテキサス州知事を歴任したが、 南北戦争時に南軍に加わるのを拒んで知事を辞職し、 間もなく死去した。
ヒューストンのキャリアは大半が文民政治家としてのものであったが、 テキサス革命では類まれな軍事的才覚を示しテキサスの勝利に貢献した。 一方若い頃に家出して先住民の中で暮らすなど当時としては変わり者であったが、 南北戦争で南軍に加わるのに反対した点も含め 現在でも人気を集めそうなパーソナリティである。

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