劉備（りゅうび）

[中国−後漢末・三国]

後漢末の英雄で、蜀漢の昭烈帝。字は玄徳。 中山��王劉勝の末裔を名乗っていたが、 実際は家は没落して自身はヤクザ同然であった。 それに劉勝という人物、あまり先祖として尊敬できる人間でもない。 耳が大きく腕が長い異相だが（本当か？）、体格が良く見栄えがした。 関羽・張飛とは早くから兄弟のように付き合っていた。 黄巾の乱の功績で田舎の役人になるが、賄賂を拒んで出奔する。 後徐州の太守にまでなるが、呂布に追い出される。 曹操を頼って徐州太守の地位を奪い返すが、曹操と戦って敗れ、 袁紹、次いで劉表を頼る。 劉表の荊州で「髀肉之嘆」を託っていたが、 その間に諸葛孔明を配下に加えることに成功する。 劉表の死、曹操の進出から赤壁の戦いと続き、 荊州を地盤とすることに成功する。 さらに隣の益州も手に入れ、漢中王となるが、 孫権配下の呂蒙によって関羽と荊州を失い、失意の時を過ごす。 曹丕が帝位に就くと、それに対抗して皇帝となる。 さらに張飛も殺され、激情に駆られて孫権陣営に戦いを挑む。 しかし夷陵の戦いで陸遜に敗れ、 翌２２３年後事を孔明に託して没した。
劉備は政略・戦略・戦術いずれも大したことはない。 戦いでは負け続けである。 それに情に弱く、最後は政治的判断を誤っている。 しかし、それでも劉備は一流の英雄である。その強みは人望である。 優秀な人材が彼を慕ってくる。 また、その人材を使いこなすのが上手かった。 この点はライバルの曹操よりも上である。 普通の部下は安心して仕事ができたし、 優秀な部下は好きなように働くことができた。 孔明は仲達のように猫をかぶる必要が無いどころか、 いきなり先生になることができた。 それに愛嬌があったのか、皆怠けるよりも彼を助けようとした。 この点先祖（かどうかわからないが）の劉邦とよく似ている。 また、負けても負けても生き残るしぶとさも似ている。 それに加えて天下を取っていない同情もあるし、 陰惨な粛正もしていない。 三国志演義で主役となったのも納得である。 ただし、聖人君子にしてしまうと、 劉備の良さが損なわれると思えるのだが･･････