[ヨーロッパ−近世]
フランスの宰相・聖職者。
ルイ13世の代のフランスを事実上取り仕切った大政治家である。
ポワトゥーの下級貴族の子として生まれ、当初は軍人を目指していたが、
家のリュソン司教職を保持するため聖職者となった。
三部会の聖職者代表となったことで政界入りし、
その手腕によってユグノーの反乱などの危機にさらされていた
フランスで権力を徐々に掌握していき、
枢機卿・次いで首席国務卿(事実上の宰相)となった。
リシュリューは「第一に国王の尊厳、第二に国家の盛大」のために行動し、
中央集権化を推し進めたため主に貴族たちに恨まれることとなった。
国内で反乱を起こしたユグノーには断固として対処し、
ラロシェルの反乱軍を鎮圧した。
そしてナントの勅令で認められた信仰の自由を認める代わりに数々の特権を廃止した。
一方三十年戦争ではハプスブルク家に対抗するためプロテスタント諸侯側に付き、
当初はスウェーデンを支援、後に直接戦争へ参加した。
これはローマカトリック教会から非難されたが、
政治的にはハプスブルク家の封じ込めに成功した。
断固とした政策のため敵が多く、その死の直前まで陰謀にさらされ続けたが、
最期まで権力闘争に勝利し続け、腹心のマザランを後継者に指名して死去した。
「三銃士」では悪役としての側面が強調され、事実そのような人物であったが、
同時にフランスを発展させた大政治家でもあった。