宗教改革(しゅうきょうかいかく)

[ヨーロッパ−近世]

16世紀に発生した西欧のキリスト教の革新運動。 この運動によりそれまでのカトリック教会から分離する形で プロテスタントが生まれた。 なお一口にプロテスタントと言ってもルター派・カルヴァン派・イングランド国教会 の3つに大きく分けられ、その成立は別々である。
ルター派はドイツ出身のルターがローマ教会を批判し、 それにドイツ諸侯が賛同する過程で生まれた。 教会に対する批判はそれ以前からボヘミアのフスやフィレンツェのサヴォナローラなど いくつか在ったが、ルター派はドイツ諸侯から北欧に広まり、 皇帝との妥協もあって定着した。
カルヴァン派はスイスでツヴィングリが最初に始め、 後にカルヴァンの下で発展した。 長老制による教会の運営と蓄財の肯定が特徴で、 主に商工業者に支持された。 主にスイスとオランダで発展し、 イギリス・フランス、後にはアメリカ・ドイツでも大きな影響力を持った。
イギリス(イングランド)の場合、ヘンリー8世の離婚問題が原因であり、 元々宗教よりも政治的な動機で生まれた。 一時カトリック教徒のメアリーの治世で後退したが、 エリザベス以降は国教会の優位が確定した。
これらの宗教改革は、何れも深刻な対立を生み出し、 三十年戦争・ユグノー戦争・オランダ独立戦争といった凄惨な内戦に発展した。 これらの戦いの結果、大まかに見て北ヨーロッパはプロテスタント、 南ヨーロッパはカトリックに分布が分かれて定着した。
プロテスタントの分離はカトリック教会側でも内部改革を促し、 イエズス会などを中心とした対抗宗教改革運動を生み出した。 現在日本を始めアジアやアメリカなどにカトリックが広まったのは 彼らの布教活動の影響である。

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