プロンビエールの密約(プロンビエールのみつやく)

[ヨーロッパ−近代]

イタリア統一のためサルデーニャ王国とフランス帝国との間で結ばれた密約。 サルデーニャ王国はイタリア統一のため当時オーストリアの支配下にあった ロンバルディア・ヴェネツィアの獲得を狙っていたが、 首相カヴールはサルデーニャ単独では難しいと考え、 列強の支援を得るためクリミア戦争に参戦した。 戦後フランスに狙いを定めて関係改善を図り、 フランス東部の保養地プロンビエールでフランス皇帝ナポレオン3世と会談した。 そこで両国の間で

・サルデーニャがオーストリアから攻撃された場合は援軍を派遣する
・サルデーニャはロンバルディア・ヴェネツィアを奪取して北イタリアを統一し、 中部・南部イタリアは独立国のままとする
・援軍の代償としてサルデーニャはサヴォイ・ニースをフランスに割譲する

という内容の取り決めが結ばれた。 フランスへの領土割譲はサルデーニャにとって苦しい条件であったが、 カヴールは背に腹は代えられぬと渋々了承した。 この取り決めがプロンビエールの密約と呼ばれる。 密約に従ってフランスは第２次イタリア独立戦争に参戦しオーストリア軍に勝利したが、 戦線拡大を望まなかったナポレオン3世はサルデーニャに諮らず単独で講和し、 約束したヴェネツィアを得られなかったため密約は一旦破棄された。 その後ロンバルディア獲得で増大した国力を背景にサルデーニャは中部イタリアを併合し、 その段階でフランスへの領土割譲が履行された。 この密約による領土割譲はニース出身のガリバルディの怒りを買い、 以後ガリバルディはサルデーニャから離脱し独自の活動を行うようになった。