[ヨーロッパ・南米−近世]
南米に存在したインカ帝国を滅ぼしたコンキスタドール。
スペインで私生児として生まれ、
父は貴族であったが母方の実家である農家で育ったためか文盲であった。
イタリア戦争に参戦した後新大陸に渡り、探検隊の副官となった。
当時は中米の探索が中心であったが、
ピサロは探検家アルマグロと共に南米を探検し、
何度かの失敗してを経てインカ帝国の存在を知った。
一旦スペインに戻って王カルロスから征服の許可を貰うと、
募集した兵とともに再び新大陸に渡った。
パナマから数百の兵と共にインカへ入国し、
策略によって皇帝アタワルパを生け捕りにした。
その後身代金を取れるだけ取った後でアタワルパを処刑し、
帝国の分裂状態を利用して敵対勢力を各個撃破していった。
新首都リマを建設するなど順調に支配を進めていたが、
征服地の領有権を巡ってかつての同僚アルマグロと対立した。
アルマグロは処刑したが、その残党によってリマで暗殺された。
ピサロはコルテスのような教養も無く、
粗野で凶悪だが寡黙で沈着冷静な人物であったと言われる。
スペイン兵の銃や騎馬などの装備が優れていたとは言え
圧倒的兵力を誇るインカ帝国を征服できたのは
ピサロの謀略の才あってのものであった。
しかし他のコンキスタドールと同様真っ当な統治者ではなく、
先住民文明を徹底的に破壊しインディオの大量死を招いた。
かつては偉大な征服者と見られていた時期もあったが、
今では凶悪な破壊者という見方が一般的である。