ファランクス

[ギリシア−古代ギリシア]

古代ギリシアのポリスで採用された重装歩兵密集方陣。 ポリスの市民は自前で高価な青銅の鎧や長槍、 そして特徴的な大きな丸楯を揃え、 戦時には重装歩兵(ホプリテス)として戦った。 ホプリテスとは「楯を持つ者」の意であり、 全身を覆う鎧と大きな楯の防御力は絶大であった。 また、密集した陣形では楯を持つ左側の仲間を守る物でもあり、 楯を手放すことは恥ずべき行為とされた。 さらに、陣の最前列、その右端は右側を無防備なまま敵にさらすため、 最も勇敢な者が選ばれた。 攻撃の方も、 槍(サリッサ)は当時の主な敵であったペルシアの槍より長く、 後のアレクサンドロスのマケドニア軍の用いた物は6mにも及んだ。 これらの装備と市民故の士気の高さのため、 数の上で圧倒的に優勢だったペルシアに対して勝利を収めることも出来たのである。 しかし、これほどの重装備で密集していると動きが鈍くなり、 また正面は強いものの横や後ろからの攻撃に弱いという致命的な弱点もあった。 これらの欠点を他の兵種と併用することで克服し、 ファランクスを真の最強陣形に昇華させたのが、 マケドニアのアレクサンドロス大王である。

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