オクタヴィアヌス

[ローマ帝国]

ローマ帝国の初代皇帝とされる。 父は騎士階級の出身だったがオクタヴィアヌスが若いうちに亡くなり、 母の伯父にあたるユリウス=カエサルの養子になる。 偉大な義理の父ユリウス=カエサルの死後は遺言状で後継者に指名される。 周囲の者、特にアントニウスら歴戦の武将は カエサルは何故この病弱な若者を選んだのかいぶかしんだが、 後その理由を身をもって知ることになる。 まず、義父の部下アントニウスらに低い物腰で接して懐柔し、 義父を暗殺した者を先ず倒した。 アントニウスにレピドゥスを加えて第二回三頭政治を行うが、 次第にアントニ ウス及びそれに接近したエジプト女王クレオパトラと関係が悪化、 対立する。 レピドゥスは自発的に身を引いたが、 オクタヴィアヌスは豪傑アントニウスと戦わなければならなかった。 カエサルの見込んだ通りの卓越した政治力で力をつけ、 戦争が苦手という弱点を補うため、 部下と言うより相棒のアグリッパに戦場で采配を振るってもらった。 遂にアクティウムの海戦でアントニウス・クレオパトラに勝利、 2人を自害させてローマの内乱の時代を終息させる。 その後元老院からアウグストゥスの称号を受け、 自らプリンケプス(第一市民)を名乗りローマ帝国の基礎を固める。
カエサルのように暗殺されることを警戒して独裁的に見られることは避けたが、 護民官特権・最高神儀官と属州・軍団の支配権を獲得し、実質的に皇帝となった。 軍団や属州を整理して再編成し、内乱で肥大化した軍備を縮小して軍事費の支出を抑えた。 また以後のローマ帝国の国境と方向性を定め、 パクス=ロマーナ(ローマの平和)の礎を築いた。 しかし、ゲルマニアではライン川を越えてローマの拡大を図ったが、 トイトブルクで惨敗して失敗してしまっている。 身内の継承にこだわったが、相棒で娘婿にもなったアグリッパや、 かわいがっていた孫達に先立たれてしまった。 生来病弱であったが、70過ぎまで生き、 妻の連れ子で唯一人残った身内のティベリウスを後継者に指名して死去した。
オクタヴィアヌスは天才カエサルの跡を次いでローマ帝国を完成させた秀才であり、 チンギス=ハーンの後継者オゴタイと並んで史上最も偉大な2代目である。 カエサルの様な軍事的手腕には恵まれなかったが、 カエサル以上かもしれない政治力と名将アグリッパという仲間の力で、 ローマ帝国を完成させた偉業は計り知れない。 反面、軍事面を知らない故トイトブルクでは失敗しているし、 内乱期には何度も敗戦している。 虚弱体質で年中お腹を壊しているし、雷が苦手という話もある。 それでも彼は「偉大なる最高司令官」である。 アントニウス・クレオパトラなんぞ彼の敵ではない(言い過ぎか?)。

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