ヌール=ウッディーン

[中東−中世]

十字軍と戦ったイスラム三大英雄の一人。 本名はマフムード=ブン=ザンギーでヌール=ウッディーン (信仰の光) は尊称。 ザンギー朝の始祖ザンギーの子で二代目君主である。 父の暗殺後に兄のサイフ=ウッディーンと領地を二分してアレッポを拠点とし、 十字軍諸侯を破ってシリアに領土を広げた。 また当初仲が悪かったダマスカスに接近して勢力に加えた。 また、イスラム教国に対しては、 セルジューク朝と争って東アナトリアも領有した。 エジプトのファティマ朝に対しても部下のシールクーフを派遣し、 実権を奪った。 しかし、シールクーフの死後、 跡を継いだ甥のサラディンは自立の動きを見せ始め、 討伐しようとしたが、その前にヌール=ウッディーンは病没した。 後にザンギー朝の領土はサラディンによって併合された。
サラディンの陰に隠れて知名度は低いが、 そのサラディンの活躍の基盤を築いたのはヌール=ウッディーンであり、 純粋な軍事手腕ならサラディン以上かもしれない。 隠れた英傑である。

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