トーマス=ニューコメン

[ヨーロッパ−近世]

イギリスの技術者で、初の実用蒸気機関の発明者。 イングランド南西部のダートマスで金物商の次男として生まれ、 長じて家業の金物商となり鉱山用の機器の製造・販売を行っていた。 当時の鉱山では坑道内の出水が問題となっており、 ニューコメンは排水ポンプの開発に従事するようになった。 当時排水ポンプは馬で動かしていたが、 これには莫大な労力を要し改善が望まれていた。 ニューコメンは配管工兼ガラス職人のジョン=コウリーと共に 動物に頼らない動力を模索し、 世界初の実用蒸気機関を生み出した。 蒸気機関は紀元前のヘロンや同時代のセイヴァリが作成していたが、 何れも試作品レベルであり、 実用に耐える装置はニューコメンが最初である。 この発明により鉱山の排水工程の効率は向上し、 複数の鉱山でニューコメンの装置が用いられるようになった。 機関の製造はニューコメンの死後も続けられたが、 まだ効率が不十分であり、 蒸気機関が広く普及するには後のワットによる改良を待たなければならなかった。 なおニューコメン機関はワット機関より構造が単純で安価であったため、 ワットの改良後も暫くは製造が続けられ、 ヨーロッパ各地で最終的には数千台のニューコメン機関が製造された。

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