米墨戦争(べいぼくせんそう)

[北米−近代]

アメリカとメキシコの間で戦われた戦争。 アメリカの勝利によって現在のアメリカ中西部の広大な領域がアメリカ領となり、 アメリカ領が太平洋に達することになった。 アメリカはメキシコから分離独立したテキサスを併合し領土を拡大させたが、 太平洋岸への進出を狙っていたアメリカはこれに満足せず カリフォルニア・ヌエバメヒコ(ニューメキシコ)の購入を打診した。 しかしメキシコ側ではテキサスを併合したことによって反米感情が高まっていたことに加え、 政情が不安定でまともな交渉が出来ずこの試みは断念せざるを得なかった。 またテキサスとメキシコの国境についてヌエセス川とリオグランデ川に 挟まれた地域の領有権で双方の主張が食い違い対立していたが、 アメリカ側は強引に領有の既成事実を作るべくブラウン砦を建設した。 これを侵略行為と捉えたメキシコ軍の騎兵隊がアメリカ軍を攻撃し、 戦争に発展した。 戦いはアメリカ軍が終始圧倒し、カリフォルニア・ヌエバメヒコを占領した上で 強襲上陸によってベラクルスから首都メキシコシティまで攻略してしまった。 当時メキシコ軍が旧式のナポレオン戦争時代の銃器を使用していたのに対し、 アメリカ軍は新式の国産ライフル銃を装備し、 その差が戦果に現れる結果となった。 この戦争の結果アメリカはカリフォルニア・ヌエバメヒコを含む広大な領土を獲得し、 メキシコは賠償金ならぬ割譲領土の代金を得たものの当時の領土の3分の1を失った。 この敗戦でメキシコではまた政変が起こったが、 相変わらず政情不安定な状態が続くことになった。 アメリカが獲得した領土は大部分が不毛な乾燥地帯であったが、 カリフォルニアで金鉱が発見されてゴールドラッシュが起こり、 西部フロンティアとして急速に発展していった。

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