メディチ家(メディチけ)

[ヨーロッパ−中世・近世]

イタリア中部のフィレンツェを事実上支配し、後に正式な君主となった富豪の一族。 世に出る前の詳細は不明だが、 「メディチ」という名前から薬問屋か医師だったらしいと推測されている。 最初に歴史に名を残したのはジョヴァンニで、 彼の代に金融で成功し一躍フィレンツェの名家となった。 その息子「賢明なる」コジモの代にフィレンツェの実権を握り、 商売も成功してフィレンツェのみならずヨーロッパ有数の名族にまでなった。 コジモの孫、「偉大なる」ロレンツォも優れた政治家・商人で、 彼の代にフィレンツェは最盛期を迎え、 多くの芸術家のパトロンとなってルネサンスを花開かせた。 その死後はフランスのイタリア侵攻の影響で一族フィレンツェ追放となったが、 ハプスブルク家の後援を得て復帰、 さらに一族から教皇も出しローマをも支配した。 一連のイタリア戦争でメディチ家のローマ支配は長続きしなかったが、 代わりに一族のアレッサンドロがフィレンツェ公として正式な君主となった。 そのアレッサンドロの暗殺後傍系のコジモが君主となり、 紆余曲折の上トスカーナ大公として世襲化に成功した。 以後100年以上フィレンツェを支配したが、 大航海時代・イタリア戦争を切っ掛けとしたイタリアの地位低下により、 フィレンツェは1小国となってしまった。 後にメディチ家の嫡流は断絶し、 トスカーナ大公はロートリンゲン家出身の皇帝フランツが継承した。

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