[ヨーロッパ−近世]
オランダ総督で、オランダ独立の最大の立役者。
最初の独立派指導者であるウィレム1世の息子として生まれ、
父の暗殺後にホラント州・ゼーラント州の総督となった。
内政は専ら穏健派のオルデンバルネフェルトに任せ、
マウリッツはプロテスタント強硬派に属して軍事を担当した。
そして従兄弟のヨハンと共に軍事制度を改革し、
大国スペインに勝利する原動力となった。
有利な条件で休戦すると、
政敵でもあったオルデンバルネフェルトを処刑して権力を掌握した。
57歳で頂点に君臨したまま死去したが、
生涯独身で嫡子がいなかったため(庶子はいたが)
異母弟フレデリック=ヘンドリックが後を継いだ。
マウリッツは従兄弟のヨハンと共に軍事制度の一大変革を成し遂げた。
その内容は、
・従来の大雑把な軍の訓練を改め、
例えば銃の発砲の動作を数十工程に細分化し、
号令に合わせて一斉に動作するようにした
・スペインのテルシオより小さな「大隊」を創設し、
より機敏に機動できるようにし、
同時に槍兵と銃兵の連携をし易くした
・銃が槍(パイク)の補助であった従来のテルシオを改め、
槍が銃の補助となるように転換した
・行進の規則を定めて迅速な移動・陣形変換に対応させた
・軽量な野戦砲を考案した
・騎兵槍を廃し銃・刀を用いる竜騎兵を創設した
・これらの高いレベルの機動・戦闘を可能とするため
傭兵軍から常備軍へ変化する先駆けとなった
・優秀な将校を養成するため士官学校を創設した
・また上記内容を書物にして公開し、西欧全体に広めた