モーリス=ド=サックス

[ヨーロッパ−近世]

フランスの名将で、6人のフランス大元帥の一人。 ザクセン選帝侯で後にポーランド王にもなったフリードリヒ=アウグストの庶子として生まれた。 元の名はドイツ語でヘルマン=モーリッツ=フォン=ザクセン。 幼少の頃から軍人となり、ザクセンの隊長としてスペイン継承戦争に参加し、 主にフランドルでマールバラ公やプリンツ=オイゲンの下で戦った。 結婚時に一旦退役してオーストリア軍に再入隊したが、 父がフランスの連隊長の地位を買ったこともありフランス軍に入隊した。 その後戦術研究しつつも軍功を重ね、 王の愛人であるポンパドゥール夫人や軍の長老ノアイユに引き立てられて出世し、 オーストリア継承戦争時には元帥・最高司令官となった。 その後フォントノワの戦いを始め勝利を重ね、 フランドル全域をほぼ制圧して戦況を有利に進めた。 戦争自体はアーヘンの和約で大きな戦果なく終結したが、 フランスと司令官サックスの威信は大いに高まり、 サックスは史上5人目のフランス大元帥となった。 戦後退役し間もなく死去した。
サックス伯は庶子故に王の後継者にはならなかったが、 300人以上いる王の息子の中で最も成功し、 後世の名声は王となった父や兄を上回った。 当初こそ父のコネで入隊したが、軍人として実力をつけ、 著作「我が瞑想」やフォントノワの戦いの指揮から フランス大元帥に相応しい名将の一人として歴史に名声を残した。 なお結果として故郷ザクセンやその盟主オーストリアの敵として名を挙げたが、 当時は現在と比べても国に対する帰属意識が薄く、外国人司令官は珍しくなかったようである。 例えばオーストリアの名将プリンツ=オイゲンもフランス人である。

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