ルイ9世

[ヨーロッパ−中世]

中世フランスのカペー朝の王。聖王と称される。 幼少時に父の死により即位したため、当初は母のブランシュが摂政となった。 王が幼少であったためか諸侯の反乱が続いたが、ブランシュにより鎮められた。 また、即位後間もなくプロヴァンス伯の長女マルグリットと結婚した。 彼女はイングランド王妃エリーナの姉でもある。 彼女との夫婦仲は良かったが、 母ブランシュがあまり仲睦まじいことを望まなかったため、 夫婦でありながら逢引をしていたと言う。 彼はイングランドとの和解・皇帝と教皇の仲裁などの外交に手腕を発揮し、 また、内政でも王権強化と経済発展に成功した。 その手腕と敬虔で高潔な人柄から聖王と呼ばれた。 一方、その敬虔さから十字軍遠征をし、エジプトに攻め込んだが、 敗北して莫大な身代金を払って帰国した。 その政治手腕ほどには軍事手腕は優れていなかったようである。 晩年再度の十字軍を望み、 シチリア王となった弟シャルルの提案で対岸のチュニジアへ侵攻したが、 軍内で病気が蔓延し、ルイも病没した。 これが最後の十字軍と一般に呼ばれている。 死後カトリック教会により列聖された。
彼は聖王の名に相応しい人格者で、 また内政・外交の手腕にも優れた名君であった。 しかし、信仰の篤さが仇となり、十字軍で侵略して敗北し、 これは国家の負担となった。 戦争下手なことより、無用の戦争を起こしてしまったことが残念なことである。 彼もまた時代の子であったと言えよう。

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