ルイ11世

[ヨーロッパ−中世]

中世のフランス王。 「遍在する蜘蛛」という妙なあだ名のついた策士である。 太子時代は父シャルル7世に反抗し、 何度もその退位を謀ったが全て失敗した。 自身が即位した後は王権強化を図り、 そのため権限縮小を嫌った諸侯と対立した。 特に最強の諸侯であるブルゴーニュのシャルル突進公とは直接対立で敗北したが、 スイスと同盟してシャルルを敗死させ、 ブルゴーニュの本領を接収することに成功した。 他にもプロヴァンスやアンジューなどを外交的手段で併合し、 フランスの中央集権化に成功した。 同時に百年戦争で荒廃した国土を復興させ、 印刷・養蚕・鉱山などの産業を奨励するなど、 内政でも手腕を発揮した。
ルイ11世は父を追い落とそうとするなど善良とは程遠い人物であった。 また謀略でも戦争でも度々敗北しライバルのシャルル突進公と比べても 英雄的とは言い難い。寧ろ小悪党という印象すら受ける。 しかし、百年戦争による荒廃から国土を復興し、 次の時代のイタリア戦争に進むだけの国力を蓄えたのは彼の手腕による。 名君は善人とも英雄とも限らないという見本のような人物であると言えよう。

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