[ヨーロッパ−近世・近代]
フランスの数学者・物理学者・天文学者・政治家。
農民の子として生まれたが、士官学校に通い、才能を発揮してパリ士官学校の数学教師となった。
特に数学の業績が顕著で、ラプラス変換・ラプラス方程式・ラプラシアンなどに名を残した。
また業績の集大成として「天文力学概論」を出版し、天体に限らずあらゆる運動について論じた。
フランス革命以降は政治家としても活動したが、ラプラスは稀に見る「変節漢」であった。
常に勝者の側について、自身が目を掛けたナポレオンが政権を握ると内務大臣にまでなったが、
ナポレオン没落後は王党派に鞍替えして貴族院議員となった。
ラプラスは決定論者で、「ラプラスの悪魔」という概念を生み出した。
今日量子力学によりラプラスの悪魔は否定されているが、科学史上では重要な概念である。
しかしラプラス自身が、政治家としてはそれこそ「汚物の詰まった絹の靴下」
とまで言われたタレーラン以上の変節漢で悪魔的人物であったことは何とも皮肉なことである。
ラプラスはその数学・物理学の業績から「フランスのニュートン」と呼ばれるが、
業績だけでなく学問以外の点でダメ人間な所もソックリである。