クリスティーナ

[ヨーロッパ−近世]

ヴァーサ朝最後のスウェーデン女王。 英主グスタフ2世アドルフの娘として生まれ、 男勝りな性格に育てられた。 三十年戦争での父の突然の戦死により幼くして即位し、 そのため国政はオクセンシェルナ率いる摂政団によって仕切られた。 長じて親政を行うようになると、 スウェーデンの利益を求めるオクセンシェルナらに反し、 戦争終結を優先し比較的「緩い」条件で三十年戦争を終結させた。 またスウェーデンを文化大国にしようと文化人と交わり、 さらにプラハで美術品を略奪までさせて文化財を収集した。 なおその過程で哲学者のデカルトを無理やり招聘し、 寒さと早起きが苦手な彼を早死にさせてしまっている。 クリスティーナは文武に優れ文化人との交流にも長けていたが、 財政には無関心で国家財政を悪化させた。 また他国、特にカトリック教国との融和を重んじたが、 これは新教と自国の利益を重んじる政府主流派には受け入れられなかった。 そのためか、クリスティーナは従兄のカール10世に王位を譲って退位し、 その後はカトリックに改宗してローマに移住し、 相変わらずのよく言えば文化的、悪く言えば放漫な生活を送った。 後に財産を求めてかスウェーデン王に復位しそうと図ったが、 相手にされなかった。 生涯独身で通したため子はなく、 死後遺産は交流のあった枢機卿アッツォーリに寄贈された。
クリスティーナは父から英邁さは引き継いでいたが、 財政への無関心などもありそれが国家のために生かされたとは言い難い。 母親がヒステリックで問題のある人物であったが クリスティーナ自身は父のような理知的な人物であった。 しかし、理想主義過ぎて現実の政治は上手く切り盛りできなかったようである。

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