ハザール

[ヨーロッパ・中東・中央アジア−中世]

7世紀から10世紀頃にカスピ海北岸から黒海北岸の辺りで栄えた遊牧民族。 多くの遊牧民族と同様起源は不明だが、テュルク系と考えられている。 恐らくカスピ海からコーカサスが発祥の地で、西進して黒海沿岸に到達した。 当初は西突厥の従属下にあったが、それが衰退すると独立し、 ブルガールを壊滅させた。 コーカサスの領有を巡ってササン朝、その滅亡後はイスラム帝国と争ったが、 敗れたことによりイスラム教に改宗した。 その間共通の敵を持っていたビザンツ帝国とは 一時クリミア半島の領有権で対立したものの、 後に和平し両国の友好関係は長く続いた。 その後、恐らくビザンツとイスラムの板挟み状態にあったため、 支配者層がユダヤ教に改宗した。 このためハザールは世界的にも稀有なユダヤ教国家となったが、 実際には所詮方便であったこともあってか改宗したのは極少数であったようである。 10世紀になると新興のキエフ大公国の攻撃を受け、 オレグからスヴャトスラフ1世の代までの相次ぐ侵攻によって国家が崩壊した。

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