ユンカー

[ヨーロッパ−近世・近代]

エルベ川以東の東部ドイツにおける地主貴族の呼称。 ドイツ東部は中世ドイツ騎士団などによる植民が積極的に行われ、 中核となった騎士達が直接農地経営を行った。 近世に入って商工業の発達に伴い穀物需要が増加すると穀物の輸出で力をつけ、 農民を農奴化して強力な支配権を確立しユンカー階級を形成した。 ユンカーは西欧貴族と比べても領地に対して強力な支配権を有し、 さらにユンカー同士の通婚などで閉鎖的な階級を形成し、 プロイセン王国の将校や官僚は大部分をユンカーが占めるようになった。 産業革命やフランス革命の影響で近代化のため農奴解放が行われたが、 ユンカーの多くは資本家に転身して近代的な経営者として地位を維持した。 こうしたユンカーは鉄血宰相ビスマルクなどの有力者を輩出し、 ドイツ帝国においても支配者階級としての地位を保ち続けた。 第一次大戦の敗戦後は一時冷遇されたが、 ナチス政権下では保守層として軍人を中心に政権を支えた。 第二次大戦後、東ドイツの共産党政権下でユンカーは消滅した。

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