ジョゼフ=ボナパルト

[ヨーロッパ−近代]

ナポレオン=ボナパルトの兄。 後にナポリ王ジュゼッペ1世、さらに転じてスペイン王ホセ1世となった。 下級貴族カルロ=マリア=ブオナパルテの長男として生まれた。 温厚な人柄であったが、弟ナポレオンが革命の中のし上がったため、 ジョゼフも巻き込まれ意に反して政治の世界に身を投じることとなった。 妻ジュリー=クラリーの妹デジレと結婚したベルナドットは ナポレオンのライヴァルと目されナポレオンとの仲も良くなかったが、 ジョゼフとの仲は良好であったと伝えられる。 だが皇帝となったナポレオンは身内を各地の王にする方針をとり、 ジョゼフもナポリ王、さらにスペイン侵略時にはナポリ王位を義弟ミュラに譲り、 スペイン王に担ぎ出された。 ジョゼフ自身は無理やり押し付けられた地位ながら、 国内改革を進めスペインのブルジョワジーや反体制派との融和を図ったが、 国内の聖職者などの保守派や弟ナポレオンの強硬姿勢により頓挫し、 内戦の敗北により地位を追われた。 ナポレオンの没落後はアメリカで亡命生活を送り、 最期はイタリアのフィレンツェで死去した。
ジョゼフは温厚な人徳者でアクの強いベルナドットとすら仲が良かったが、 天才だが問題児でもある弟ナポレオンのために散々振り回された人生であった。 スペイン王としての悪評など、ほぼ完全に弟の被害者であると言えよう。

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