ジェローム=ボナパルト

[ヨーロッパ−近代]

ナポレオン=ボナパルトの末弟。 後にヴェストファーレン王イェローメとなった。 コルシカ島で生まれたが、他の兄弟と異なり金銭的苦労を知らずに育った。 ナポレオンに可愛がられたこともあり良くも悪くも「お坊ちゃん」であった。 海軍に入隊し、マルティニーク島沖でのイギリスとの海戦に参戦したが、 追われてアメリカに逃亡した。 そこで富豪の令嬢エリザベス=パターソンと恋愛結婚をし、子供も設けた。 ナポレオンの皇帝即位後に謁見のためフランスに帰国したが、 ナポレオンの反対によって離婚を余儀なくされ、 妻子とは強制的に引き離された。 その後南ドイツのヴュルテンベルク王の娘と政略結婚し、 新たにフランスの衛星国として設けられた ヴェストファーレン王国の国王に任じられた。 ヴェストファーレン王国ではフランスを手本とした近代的な制度が取り入れられたが、 フランス軍を支える兵站基地として重い負担に苦しめられた。 ロシア遠征に参戦したが、独断で戦線離脱をし、 さらに本国での敗戦によって国を追われた。 ナポレオンの百日天下にも加わり、ワーテルローの戦いにも師団長として参戦したが、 敗戦後も兄のように流刑にされることもなくヨーロッパで暮らした。 晩年ナポレオン三世によって第二帝政が成立すると、 年長であったジェロームはボナパルト家の重鎮としてこれに加わった。 そのため文武に取り立てて功績があるわけでは無かったが、 兄弟の中最も栄達した状態で死去した。

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