イヴァン3世

[ヨーロッパ−中世]

モスクワ大公で、 後世のロシア帝国の基盤を築いた手腕から「イヴァン大帝」と称される。 若くして即位した直後からヤロスラヴリ・リャザン・ロストフ・トヴェリ といった周辺国を次々と保護国化・併合し、 さらにノヴゴロドも併合してほぼロシア全域を支配下に置いた。 さらに最初の妻の死後最後のビザンツ皇帝コンスタンティノス11世の姪と再婚し、 「ツァーリ」の称号を使用した。 これは「王」程度の意味であったが、後世ロシア皇帝の称号となる。 さらにジュチ=ウルスおよびポーランド連合と対立したが クリミア=ハン国と同盟して対抗し、 ジュチ=ウルスの遠征軍を退却に追い込んで完全に 「タタールのくびき」からの脱却を果たした。 晩年は長男の死後孫と次男の間で後継者争いが起こり、 これにロシア正教会に対する方針対立も絡んで複雑化したが、 最終的に次男ヴァシリが勝利し、イヴァンの死後に即位した。
イヴァン3世は周辺国を次々と併合し、さらにモンゴルからの完全独立も果たし、 後世のロシア帝国の基盤を築いた名君である。 さらに「ツァーリ」称号の使用など後世に与えた影響は大きい。 晩年は後継者争いで汚してしまったが、統治は概ね順調で内政面でも成果を挙げた。 反面、ノヴゴロドの都市自治権を完全に奪うなど、 実に「ロシアらしい」専制君主であった。

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